看護師のための「正しい言葉づかい」まとめ

「ご苦労さまです」「了解しました」「すいませんでした」

 

よく使っている表現ですが、どこか違和感がありませんか。それもそのはず、実はこれらの言葉づかいはどれも正しくありません。

 

「院内でもみんな使ってるし、あまり気にしていない」という人が多いかもしれませんが、世間はそうでもないようです。

 

口に出さないだけで、それを不快に思う人や常識知らずだと感じる人は少なくありません。

 

患者さんとのトラブルや恥ずかしい思いをしないように、正しい言葉づかいを学んでおきましょう。

 

 

「お薬の説明をさせていただきます」

よくにするフレーズですが、これは誤った使い方です。「お薬の説明をいたします」に言い換えると良いでしょう。

 

「させていただく」という表現は、使い方が正しくても多用されると慇懃無礼に聞こえて不快に思う人もいるので注意が必要です。

 

「させていただく」は、主に以下の2つを満たす場合に使う謙譲語です。

 

(1)誰かの許可が必要なこと

(2)自分にメリットがあること

 

つまり「させていただく」は「○○をしたいので、許可をください」というときに使うのが一般的です。

 

○「体調が悪いので、お休みさせていただきたいのですが」

 

この場合であれば、病院もしくは師長の許可が必要です。「休む」という自分へのメリットも明確なので、適切な使い方といえます。

 

他にもこんな間違いがあります。

 

×「今日から○○さんを担当させていただきます」

 

許可も必要ないですし、メリットもありません。よく考えてみるとおかしいですよね。この場合も前述の例と同じく「担当いたします」と言い換えましょう。

 

 

「薬局でお薬をいただいてくださいね」

「いただく」は「もらう」の謙譲語です。「お薬をもらう」のは自分ではなく、患者さんなので「お受け取りください」と言い換えるのが適切でしょう。

 

謙譲語:目上の人に対して、自分の動作を表すとき

尊敬語:目上の人の動作を表すとき

 

ちなみに「もらう」は自分の動作を表す言葉なので、尊敬語は存在しません。

 

 

「もうすぐ先生がいらっしゃいますので、少しお待ちいただけますか」

正しい言葉づかいにも見えますが、実はこれも不適切です。「もうすぐ先生がいらっしゃいます」を「もうすぐ医師が参ります」と言い換えるのが適切です。

 

「先生」は医師に対する尊敬語なので、患者さんに伝える場合は「医師」と呼びましょう。

 

「いらっしゃる」は医師の動作を表す尊敬語ですので、患者さんに伝える場合は謙譲語の「参る」を使いましょう。

 

「もうすぐ」を「間もなく」に直すと、より丁寧な表現になります。

 

患者さんに伝えるときは以下の2点に気をつけましょう。

 

・先輩や目上のスタッフでも、身内に敬称はつけない

・自分や身内の行動を表現するときは、敬語ではなく謙譲語を使う

 

医療者には独特の言い回しや敬称の付け方があり、正しさよりも慣例が重視される場合もあります。

 

とはいえ、正しい使い方を知らないままで使うのと、知った上で使い分けるのではまったく意味が違います。

 

 

「会計窓口から呼ばれます」

この場合、会計窓口は身内(組織内)なので「会計窓口からお呼びいたします」が適切な表現です。

 

「会計窓口から呼ばれます」では自分たちの身内の動作にも関わらず、どこか他人事のような印象を受けます。

 

身内の行動を表すときの言葉づかい例

 

・見る→拝見する

・聞く→お聞きする、うかがう

・言う→申す

・呼ぶ→お呼びする

 

 

絶対に押さえて!まちがいやすい表現

これから紹介する言葉づかいは、どれも間違いやすい表現です。使う機会が多い言葉ばかりなので、これだけはしっかり覚えましょう。

 

(1)ご苦労さまです→お疲れさまです

「ご苦労さまです」は目下の人に対して使う言葉です。

 

(2)了解しました→承知しました、かしこまりました

「了解しました」は少しずつ敬語表現として受け入れられてはいますが、本来であれば不適切。「了解」は目下の人に使う言葉なので、極力避けましょう。

 

(3)すいません→申し訳ございません

「すいません」は「すみません」の口語(話し言葉)なので、目上の人に失礼にあたります。これも一般的に受け入れられつつありますが、せめて「すみません」を使いましょう。

 

(4)今お時間よろしかったでしょうか→今お時間よろしいでしょうか

「よろしかった」という過去形ではなく現在形に直しましょう。

 

(5)うかがわせていただきます→うかがいます

「うかがう」と「いただく」の二重敬語です。

 

(6)おっしゃられる→おっしゃる

「おっしゃる」と「される」の二重敬語です。

 

 

今からでも遅くない! 1日5分で改善できる言葉の練習

いかがでしたか? 「私の言葉づかい全然だめじゃん!」とショックを受けている人も多いのではないでしょうか。

 

でも安心してください、言葉づかいは1日5分程度の練習で改善できます。通勤時間や休憩時間などを利用して取り組んでみましょう。

 

(1)思いついたフレーズを設定する

・「10分後に行く」

 

(2)尊敬語、謙譲語を使って表現する

・尊敬語「10分後にいらっしゃいます」

・謙譲語「10分後に参ります」

 

(3)具体的な場面を想定して、敬語表現にする

・尊敬語「患者さんが10分後にいらっしゃいます」

・謙譲語「医師が10分後に参ります」

 

言葉づかいで印象は大きく左右されます。正しい言葉づかいは、相手に誠実な印象や信頼感を与えますが、逆を言えば間違った言葉づかいで損をしているかもしれません。

 

この機会に、自分の言葉づかいを見直してみてはいかがでしょうか。

 

【看護roo!編集部】

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