2016診療報酬改定【2】看護現場への「重症度、医療・看護必要度」の影響とは

診療報酬ってなんか難しいし、病院の経営のことでしょ、カンケイないわ」と思いがちですが、実はコレ、看護の現場に直結しているんです。

 

本連載では「4月1日の施行からどう変わる!?」というところを、わかりやすく解説していきます。

 

診療報酬改定はナースにどう影響するか【2】

2016改定のメイン|「重症度、医療・看護必要度」の見直しで同僚ナースの数が減る!?

 

今回は、2016改定のメインである「重症度、医療・看護必要度」の見直しを取り上げます!

ナースの現場への影響として考えられることは…、以下の3つです。

 

◆ナースへの影響

1)同僚ナースが減るかも…!?

2)病院の収入が減るかも…!?

3)「7対1」を算定し続けられる病院では、今より忙しくなるかも…!?

 

詳しくみていきましょう!

 

◆目次

 

 

【背景】重症度、医療・看護必要度」の見直しの目的は、「7対1」の削減

今回の改定で行われた、「重症度、医療・看護必要度」の見直しの目的は、ズバリ「7対1入院基本料」を算定できる病床を削減することです。

 

◆入院中の重症患者がこれまでより多くないと「7対1」を算定できない!

2016年度診療報酬改定、7対1入院基本料、重症度、医療・看護必要度

これまで、「7対1入院基本料」を算定するためには、「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす人の割合は、15%以上でOKでした。

ところが、今回の改定で「25%以上」と割合が引き上げられました。

 

つまり、入院している人の中で、重症患者がこれまでより多くないと「7対1」を算定できなくなったのです。

加えて、「重症度、医療・看護必要度」の基準自体も厳格化されています。

 

これらの厳格化により「7対1病床」は1万8,000床程度減少するのではないか、という試算も出ています。

 

 

【影響1】病棟に配置される同僚ナースの数が減る!?

今回の改定を受けて、もし、勤務先の病院がこう考えたらどうなるしょう。

「重症の患者さんをそんなに大勢は入院させられないな。7対1から10対1へ届出を変更しよう」

そうなると必然的に、病棟に配置される看護師の人数が、削減される可能性が高くなります。

 

同僚ナースの人数が減り、「看護師1人あたりが担当する患者さんの人数が多くなる=忙しくなる」という事態も起こるかもしれません。

 

 

【影響2】お給料の出どころである病院の収入が減る!?

「7対1」を算定している病床は、約36万4千床です(2015年4月時点)。

こんなに多くの病院が算定している一番の理由は、ズバリ「病院の収入が増えるから」です。

 

「7対1」病床の入院基本料は、約16,000円。

一方、「10対1」では約13,000円です。

1床につき、1日あたり約3,000円、収入に差がつくことになります。

 

たとえば、500床規模の病院では「7対1」か「10対1」の違いで、1日あたりの収入が、約150万円も違ってきます(3,000円×500床)。

 

もし、勤務先が「10対1」に変更した場合、1年で5,500万円の減収です(150万円×365日)。

 

病院の収入は、ナースのお給料の出どころでもあるので、どうやって減収分を補うのか、病院経営者の戦略も気になるところですね。

 

 

【影響3】「7対1」を算定し続けられる病院では、今より忙しくなるかも…!?

ところで、「7対1」を算定し続けられたとしても、看護師の業務が忙しくなる可能性があります。

なぜなら、算定に必要な重症患者の割合が、15%→25%に引き上げられたので、これまでは入院患者の7人に1人が重症であったのが、4人に1人が重症、ということになるからです。

 

自分が勤務する病棟に、これまでよりも重症の患者さんが増えれば、「7対1」を算定し続けられたとしても、忙しくなることが予想されます。

 

 

【おわりに】どうして「7対1」を減らそうとしているの?

そもそも、どうして今回の改定で「7対1」の要件を厳格化し、削減を促進しようとしているのでしょうか。

一番の理由は、7対1には国のお金がかかるからです。

 

もし、500床の病院が、「10対1」へ変更した場合、1年間で約3,850万円、国のお金を節約できることになります(患者負担3割と考えた場合)。

 

日本では、今後ますます少子高齢化が進むので、税金の納め手が減り、医療や介護が必要な人の割合が増えていきます。

そこで、「7対1」を減少させ、医療費を削減しようとする狙いがあるのです。

(くわしくは「2016診療報酬改定の全体像」

 


4月1日以降、勤務先がどのような方針をとるかによって、ナースの現場にはさまざまな変化が生じます。

「同僚が減る?」「忙しくなる?」の背景には、今回改定の大前提として、医療費を削減する狙いがあります。

 

しかし、ナースの労働環境が悪化する一方にならないよう、日本看護協会などの働きかけで改善された部分もあります。

改善が重点的に行われたのは、夜勤に関する要件です。

 

第3回では、夜勤の要件がどのように変更されたかみていきましょう!

 

(参考)

平成28年2月10日 中央社会保険医療協議会が厚生労働大臣に対して答申(厚生労働省)

平成26年度診療報酬改定について(厚生労働省)

メディ・ウォッチ―データが拓く新時代医療(Global Health Consulting)

ニュース・医療維新(m3.com)

 

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