病棟経験1年。ほぼ新人が訪問看護師になれた理由とは?|ゼロからの訪問看護【2】

訪問看護師になりたくて、40代の「新人訪問看護師」になった筆者。病棟とはちがう在宅看護の常識や、訪問看護師の仕事の現実をお伝えします。

 

ゼロからの訪問看護

Vol.2 「憧れの」訪問看護師になるまで

 

「訪問看護師になりたい」と仕事を辞めて看護学校を卒業したものの「働く場所がない!」と愕然とした話は前回しました。

今回は苦節1年、その後どうやって憧れの訪問看護師になったか、についてお話ししたいと思います。

 

【目次】

・憧れの看護師に会う―「お風呂にも携帯を持っていく」現実

・それでも訪問看護師を辞めない理由

・職場探しでぶつかる壁はやっぱり「経験」と「年齢」

・やっと見つけた!40代新人OKのステーション。なぜ採用されたのか?

 

憧れの訪問看護師に会う―「お風呂にも携帯を持っていく」現実

最初にしたのは、あらゆるツテを頼って訪問看護師として働いている人に話を聞きに行くこと。

ラッキーなことに、当時働いていた病院の先輩が訪問看護師として働く友達を紹介してくれたのです。

 

先輩から紹介された訪問看護師Aさんは、訪問の合間をぬって時間を作ってくださり、とても気軽に日々の活動内容などを話してくれました。

 

Aさんの話では、訪問看護は良いことばかりではなく、辞めたくなるような辛いこともたくさんあるとのことでした。

 

たとえば「緊急携帯」。

在宅の場合、緊急時に患者さんが電話することができる携帯電話をスタッフが持たされることが多いのですが、この携帯がAさんにとっては、とてもプレッシャーだというのです。

 

一度など、真冬の深夜に「おしっこの管が詰まったから来て!」とご家族から電話があり、寒空の中自転車を飛ばして行ったこともあったそうです。また、緊急電話で呼ばれて、自宅で最期を迎える患者さんの臨死に立ち会うこともしばしば。

休みの日でも気が休まらない。お風呂まで携帯を持っていくのよ」と話してくれました。

 

それでも訪問看護師を辞めない理由

Aさんから現実的な話を聞いて、正直なところ、「自分に務まるだろうか」と迷いました。

それでも、やろうと決断したのは、やはりAさんの言葉が大きかったと思います。

 

そんなに大変なのに訪問看護師をやめないのはなぜかと聞くと、

「一人ひとりにあった看護ができる。住み慣れた家で患者さんが暮らすのを支えて、最期まで家で過ごしてもらうことができるから」

とAさんは言ったのです。

その顔はとても誇らしげでした。

 

 自分がAさんのようになれるかは、自信がありませんでしたが、とにかくチャレンジしてみようと思いました。

 

 

職場探しでぶつかる壁はやっぱり「経験」と「年齢」

 新人で経験も少ない、その上年齢も高い自分がすべて希望どおりのステーションで働くのは無理です。

 

そこでまず自分が大事にした条件は

  1. 1.教育があること
  2. 2.緊急携帯を持たなくてよいこと

の二点。

この条件だけでも働けるステーションは相当減ってしまいます。

 

Aさんや看護学校の先生、病院の先輩などにも相談し、知り合いのステーションを紹介してもらいました。

またインターネットからも情報収集しました。複数の看護職専門の転職サイトにも登録しました。最近はこういった転職サイトに情報が集約されているからです。

こちらの希望条件を伝えて、どんどん情報をもらうようにしました。そしてできる限り、希望のステーションには話を聞きに行き、お願いして職場体験をさせてもらうことにしました。

 

そうやって紹介してもらったステーションに行くと、

「年齢高いけど大丈夫?体力的につらいわよ」

「病院経験が1年じゃねえ…」

「うちの併設の病院であと2年病棟経験してきたらどう?」

などと言われることがほとんど。もちろん、採用には至りませんでした。

 

やっと見つけた!40代新人OKのステーション。なぜ採用されたのか?

それでもあきらめずに探していると、新卒からの受け入れをはじめたばかりのステーションが「つらいけどやってみる?」と声をかけてくれました。

 

なぜ採用されたか?

その答えを、採用担当者は面接時にこう話していました。

「これまでいろいろな人を採用してきた結果、病棟看護とのギャップに悩み辞めていく人も多かった。それならばやる気のある新卒や新人を最初から訪問看護師として育ててみようじゃないかという結論に達した」

 

 

晴れて入職が決まったこのステーションでは、私が決めていた条件の「1.教育があること」はクリア、「2.緊急携帯を持たなくてよいこと」は自分が自信を持って希望するまでは持たなくてよいとの約束で入社しました。

 

 

正直言えば、給与や休日数で不満がないわけではありませんが、修行中の私にとっては、それらの条件は今のところ二の次です。

 

こうしてやっと訪問看護師になれたのですが、やはりそう簡単には「訪問看護、たのしいことばっかり!」とはいきませんでした。

この続きはまた次回に…。

 

 


【筆者】なつのようこ

訪問看護師2年目。一般企業で勤務する中で在宅医療に触れ、自ら訪問看護師になるべく辞職し42歳で看護学校に入学。看護師として一般病院で1年勤務後、訪問看護ステーションに入職し勤務中。

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