盲腸で医療費600万円!?アメリカの虫垂炎治療の実態

【明日使える!最新医療ニュースと医療英語】

アメリカ3大テレビ・ラジオネットワークNBC、CBS、 ABCで紹介された最新の健康・医療ニュースと解説をお届けします。ニュースの中でKey Wordとなった医療英語にも注目し、使い方をマスターしちゃいましょう!

 

Appendicitis and Antibiotics, Meds may Do Better than Surgery for Some. 

―アメリカの医師が虫垂炎手術を好む理由―

 

【INDEX】

  • ・本日のKey Word: 「Appendectomy」(虫垂切除術)
  • ・アメリカで虫垂炎になると即手術で600万円!?
  • ・合併症なしなら70%が抗生物質で治療可能
  • ・アメリカ人医師はなぜ100年以上変わらない外科的切除を好むのか?

 

盲腸で医療費600万円!?アメリカの虫垂炎治療の実態

 

本日のKey Word:Appendectomy(虫垂切除術)

盲腸(虫垂炎)は、日本の医療現場で「アッペ」と略され、「Appendix(虫垂)」の頭文字から来ています。

 

虫垂炎は「Appendicitis」、虫垂炎の手術は「Appendectomy」です。

 

日本語で言葉の最後に「炎」がつくと「炎症」、「術」がつくと「手術」と連想できるように、英語にも似た接尾語があります。炎症を表す「-itis」切除術を表す「-ectomy」です。

アメリカで医療英語を学ぶときには、まずこうした接尾語や接頭語から学びます。

 

今回紹介するニュース原文で、「Appendectomy」を含むsentenceを紹介しましょう。

The time has come to consider abandoning routine appendectomy for patients with uncomplicated appendicitis.

(合併症のない虫垂炎患者へのお決まりの虫垂切除術に見切りをつけるときが来ているのです)

 

 

アメリカで虫垂炎になると即手術で600万円!?

10~20歳代に好発し、10人に1人は発症すると言われる原因不明の病「虫垂炎」。

アメリカでは、虫垂炎が疑われた場合、すぐに病院に送られ緊急手術です。その件数、実に年間300,000件。

 

手術自体は約30分程度で一泊入院ですが、それだけでかかる医療費はというと、保険がない場合1泊入院で平均500~600万円。救急車を呼んだら10~20万円追加と思っていいでしょう。

 

 

合併症なしなら70%が抗生物質で治療可能

今回発表された研究によると、合併症を併発していない虫垂炎患者の70%以上が、おなかを切らなくても抗生物質で治療可能な上、予後も良好という結果が発表されました。

つまり、虫垂炎患者への手術を回避できる抗生物質治療の効果が検証されたのです。

 

日本では「盲腸を薬で散らす」という言葉があるように、手術を避け抗生物質で治療するケースは珍しいことではありません。

しかし、アメリカでは「虫垂炎」=「すぐ切る」の暗黙のルールが定着しており、この研究結果は、アメリカの医療界に波紋を広げています。

 

 

アメリカ人医師はなぜ100年以上変わらない外科的切除を好むのか?

アメリカ人医師が虫垂炎患者の抗生物質治療に疑念を抱くのは以下の理由が挙げられます。

 

  • ・穿孔のリスク
  • ・4人に1人が再発の可能性
  • ・医療費の増大の可能性

 

そして、アメリカ人医師が100年以上変わらない虫垂炎の外科的切除を主流とする理由はこちら。

 

  • ・手術はたった30分
  • ・根治が可能
  • ・医療費の削減

 

 

600万円なのに医療費削減ってどういうこと?

「盲腸の手術で医療費600万円」がなぜ医療費削減につながるのか?

 

実は、虫垂炎の抗生物質治療は、外科的切除よりも入院期間が長くなり、医療費が跳ね上がるケースが報告されています。さらに、再発が起これば結局外科的切除が必要になり、莫大な手術代が加算されます。

 

アメリカの医療では、“抗生物質が手術よりも割安”という感覚は、時に通用しないようです。

 

 

【Source】

Study: Antibiotics may be good alternative to appendectomy(NBC News)

Antibiotics Resurface as Alternative to Removing Appendix(The New York Times)

 


【筆者】佐藤まりこ

2001年旭川医科大学医学部看護科を卒業。2010年California RN Licenseを取得後、LAでRN(Registered Nurse)として活躍中。

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