脳死・生体ドナーからの同時移植「ハイブリッド肺移植」に成功-岡山大学病院

【ナース知っ得ニュース 2015/04/08号】

 

世界初となる「ハイブリッド肺移植」が、岡山大学病院で成功しました。

ハイブリッド肺移植とは、左右の肺をドナーと生体ドナーから同時に移植する方法。手術は4月4日に実施されました。

 

 

岡山大学病院:脳死・生体両肺移植に成功 世界初(毎日新聞)

岡山大学病院:脳死・生体両肺移植に成功 世界初

photo by Hey Paul Studios

 

突発性間質性肺炎の男性患者に移植

今回、4月4日に肺の移植を受けたのは、北海道在住59歳の男性患者です。2008年に肺が硬くなって縮んで動かなくなる「特発性間質性肺炎」を発症していました。

一時は息子2人から肺の下葉の提供を受けましたが、患者自身の体格が大きいため、肺の容量が足りないと判断されました。そこで、片肺全体の提供を受けられる「脳死肺」の移植が検討されました。

 

左肺:脳死ドナー 右肺下葉:息子から提供

患者の左肺には脳死ドナーの片肺全体を、患者の右肺には、息子の右肺の下葉をそれぞれ移植。片方の肺が生体ドナーからの提供になったのは、日本臓器移植ネットワークの規定で、55歳以上60歳未満の人には、脳死ドナーからの移植は片肺のみに制限されていることが理由です。

脳死ドナーの片肺の状態は医学的に悪かったものの、生体ドナーからの健康な肺の一部を移植したことで、十分な呼吸機能が確保できたといいます。

 

執刀医は「今後救える患者が増える可能性が示せたことに意義があった」とコメント

手術は、約20人のチームにより、約10時間かけて実施されました。術後、男性の容体は安定しており、約3ヶ月の入院が予定されています。男性患者は「脳死ドナーやその家族、息子には感謝の気持ちでいっぱい」と話しているそうです。

執刀医の大藤剛宏教授は、「今回の手術によって、世界と比べて臓器提供の少ない日本でも救える患者が増える可能性が示せたことに意義があった」と話しています。

 

「ハイブリッド肺移植」は世界初

岡山大学病院によれば、今回、脳死ドナーと生体ドナーの肺を同時に一人の患者に移植する「ハイブリッド肺移植」に成功したのは、世界で初めてとのことです。

 

日本移植学会―肺移植症例数の年次推移

(引用元)日本移植学会

 

日本移植学会によれば、2013年末までに日本で脳死肺移植が行われたのは197件で、このうち、両肺移植が93件、片肺移植が104件でした。生存率は1年生存率約85%、3年で約72%、5年で約63%となっています。

また、日本で行われた生体肺移植については、2013年末までで145件で、生存率は脳死肺移植と同程度です。

 

日本の肺移植手術は世界の「5年生存率50%」という成績と比べて生存率が高く、国際水準以上の安全さがあるといわれています。

 

(参考)

臓器移植Q&A「日本ではどのくらいの数の肺移植をやっていますか?成績はどうですか?」(日本臓器移植学会)

岡山大病院、脳死ドナーと生体ドナーの肺同時移植に成功(TBS Newsi)

脳死と生体 同時に肺移植 岡山大病院(NHK)

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