終末期ケア専門士になるには?合格率や資格取得の流れなど解説

終末期ケア専門士(看護師が取りたい資格図鑑)のページのMV

 

終末期ケア専門士は、終末期を迎える患者さんのケアに役立つ資格として、看護師さんにも人気です。

 

この記事では、終末期ケア専門士とはどのような資格か、受験資格合格率看護師が取るメリットなどを解説します。

 

 

 

終末期ケア専門士とは

終末期ケア専門士とは、終末期を迎える患者さんのケアやご家族を支えるための知識や技能を習得できる資格です。

 

日本終末期ケア協会(JTCA)による民間資格で、合格後挑戦できる上位の資格に「終末期ケア上級専門士」もあります。どちらも、エビデンスに基づいた終末期ケアを行える人材の育成を目的としています。

 

終末期ケア専門士は、あらゆる医療・福祉系の資格取得者が挑戦できます。2020年の制度スタートから、4年間で1万人以上の終末期ケア専門士が誕生しています。看護roo!編集部の取材によると、そのうち6割前後の受験者が看護師さんでした。

 

緩和ケア病棟や高齢者施設など、終末期を迎える患者さんの多い場所で働く看護師さんにおすすめの資格です。

 

 

看護師が終末期ケア専門士になるには

終末期ケア専門士になるには、受験資格を満たしたうえで試験に合格する必要があります。ここでは、試験の受験資格や合格率、費用などを紹介します。

 

 

終末期ケア専門士の受験資格

終末期ケア専門士の試験を受けるには、看護師や准看護師を含む所定の医療福祉系の資格と2年以上の実務経験が必要です。

 

終末期ケア専門士の受験資格を表した図版。医師、歯科医師、看護師、保健師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床工学技士、歯科衛生士、管理栄養士、介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床検査技師、公認心理師、救急救命士、放射線技師、介護福祉士、准看護師、臨床心理士の資格+2年の実務経験のある人が受験できる

 

実務経験は、看取りに関わらない業務でも含まれます。

 

そのため、終末期ケア・ホスピスケアなどの従事経験や看取りの経験も不要です。また、常勤、非常勤問わず受験資格を得られます。

 

 

終末期ケア専門士になるまでの流れ

試験の申請から取得するまでの流れは、以下の通りです。

 

終末期ケア専門士になるまでを表した図版。

 

また、終末期ケア専門士は5年ごとに更新が必要です。更新時に更新用eラーニング講習会を受講するか、資格者専用アプリで所定の単位を取得することで更新できます。

 

 

終末期ケア専門士の試験内容

終末期ケア専門士の試験内容は以下の通りです。

 

終末期ケア専門士の試験内容

  • 試験期間:毎年10月ごろ
  • 試験会場:全国にあるCBT試験会場
  • 出題方法・内容:CBT方式(パソコン試験)選択式、90問
  • 試験時間:90分

 

試験期間は毎年10月ごろに1ヵ月ほど設けられるのが通常です。

 

また、CBT方式とは、全国に300カ所以上ある試験会場に行き、設置されているパソコンを使って試験を受ける方式です。

 

 

終末期ケア専門士の合格率・難易度

終末期ケア専門士の、これまでの合格率は毎年60%~70%で推移しています。

 

看護師さんの合格状況も全体とほぼ同じです。

 

終末期ケア専門士認定試験 受験者数と合格率

年度 受験者総数 うち看護師の受験者数 全体の合格率 看護師の合格率
第1回(2020年) 2310人 人数不明 65.6%
第2回(2021年) 3775人 2171人 69.5% 62.2%
第3回(2022年) 4013人 2377人 67.0% 63.5%
第4回(2023年) 4451人 2748人 61.1% 68.4%

出典:看護roo!編集部による日本終末期ケア協会への取材

 

出題範囲が広く、難易度はやや高めです。しっかり受験対策をして試験に臨む必要があるでしょう。

 

 

終末期ケア専門士にかかる費用

終末期ケア専門士の受験にかかる費用は以下の通りです。

 

  • 受験料:11,000円
  • (合格の場合)登録料:11,000円
  • 資格の更新料:5,500円(5年に1度)

 

なお、「ココリンク」と呼ばれる医療系資格更新システムに登録している場合、資格の更新料は無料になります。

 

 

終末期ケア専門士の資格取得で何が学べる?勉強方法は?

終末期ケア専門士ではどのようなことが学べるのでしょうか?試験の出題内容や勉強方法を解説します。

 

終末期ケア専門士試験の出題内容

終末期ケア専門士試験は、日本終末期ケア協会認定の公式テキストの内容と、時事問題から出題されます。

 

テキストのカリキュラムは以下の通りとなっています。終末期ケアを実践するために必要な専門的知識・技術を幅広く身につけられます。

 

  • 終末期におけるチームケア
  • 日常生活を支えるケア
  • 身体症状とケア
  • 意思決定支援
  • 家族ケア
  • スピリチュアルケア
  • グリーフケア
  • 看取り期のケア
  • 終末期を取り巻く社会資源
  • 疾患別終末期ケア

 

なお、過去問は公開されていません

 

 

終末期ケア専門士試験の勉強方法は?

終末期ケア専門士試験の勉強方法は、公式テキストでの独学試験対策WEB講習会があります。

 

まず、終末期ケア専門士試験の勉強方法は、公式テキストを使用し、学習を進めることが一般的のようです。

 

また、日本終末期ケア協会では試験対策WEB講習会も開催されています。さらに学びを深めたい場合はこちらを受講するのもおすすめです。

 

WEB講習会は、公式テキストの専門的な内容をイラストや図表を用いて分かりやすく説明しているため、試験に必要な知識をより深めやすくなります。

 

なお、WEB講習会は視聴期間が限られているので、詳しくは公式サイトを確認しましょう。

 

 

看護師が終末期ケア専門士になるメリット

看護師さんが終末期ケア専門士になるメリットは、以下のとおりです。

 

看護師が終末期ケア専門士を取るメリットをまとめた図版。1スキルアップにつながる、2キャリアアップにつながる

 

1スキルアップにつながる

終末期ケアは、患者さんやご家族の状態や関係性、希望する看取りの方法、疾患、環境などによって配慮する点が大きく異なるため、正解がなく、常に学びが欠かせません

 

終末期ケア専門士は資格取得を通して、さまざまな身体症状・疾患に合わせたケアに加え、ご家族のケアや意思決定支援などについても学べます

 

患者さんやご家族の意思を尊重しながら、個々のニーズに合った専門的なアプローチがしやすくなるでしょう。

 

「患者さんとご家族にとって、悔いのない看取りを支援したい」と考える看護師さんにはおすすめの資格といえます。

 

 

2キャリアアップにつながる

終末期ケア専門士の資格はキャリアアップにもつながります

 

看取りの場面の多い緩和ケア病棟や高齢者施設、訪問看護などで活躍ができるだけでなく、終末期ケアに悩む若手の看護師に対する指導や相談の場面でも、資格で得た知識を生かすことができます。

 

また、近年は高齢化によって多死社会を迎えており、終末期ケアに詳しい人材はこれまで以上に重宝されるようになるでしょう。

 

このように、終末期ケア専門士になれば、終末期ケアを必要とするさまざまな場面で活躍でき、キャリアに生かすことができます

 

 

まとめ

高齢化が進むにつれて終末期ケアの重要性は高まっており、一般病棟の看護師さんも、終末期ケアを必要とする患者さんと関わる場面は今後増えていくでしょう。

 

終末期ケア専門士の資格を取得すれば、終末期ケアの専門知識と技術を活かして、自信を持って終末期を迎える患者さんやご家族を支援できるようになります。

 

終末期ケアのスキルアップを考えている看護師さんは、終末期ケア専門士にチャレンジしてみるのもよいですね。

執筆:看護roo!編集部

 

 

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