腰椎椎間板ヘルニアとは・・・
腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ:Lumbar Disc Herniation (LDH))とは、突出した椎間板の軟骨が神経根を圧迫することで、下肢にしびれや痛み、筋力低下を生じる疾患である。潰れて突出した椎間板自体も腰痛の原因となり得る。青壮年期の活動性の高い男性に多く、高位は第4腰椎(L4)~第5腰椎(L5)の椎間板が一番多く、次いでL5~第1仙椎(S1)である。
症状
神経根の支配領域に沿った部位に疼痛や知覚障害(しびれ)、筋力低下を生じる。疼痛の強い急性期の歩き方は、上体をかがめて手を腰に当てる、いわゆる疼痛性跛行となる。大きな(巨大)ヘルニアでは、脊柱管を高度に圧排し、排尿・排便障害(失禁)を生じることがある。
治療
半分以上の症例は、3カ月以内に保存療法で軽快する。ゆえにまず安静とし、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や神経障害性疼痛薬であるプレガバリン(リリカ®)などの鎮痛薬を投与する。軟性コルセットで腰部の支持性を補強するのもよい。硬膜外ブロックや神経根ブロックは患者の苦痛を取り除くのに役立つ。
手術の適応は、以下の症例である。
・排尿・排便障害(馬尾障害)を有する症例
・急激に進行する運動麻痺
その他、保存療法が無効で、満足な生活が送れない症例も手術の適応となり得る。
術後、ヘルニア再発を予防するため、重量物を持つことを避け、できる限り前屈の姿勢をしないよう指示する。