最終更新日 2018/06/04

手根管症候群

手根管症候群とは・・・

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん、carpal tunnel syndrome)とは、手根管内で正中神経の伝導が障害される疾患である。母指から環指橈側のしびれ、母指球筋の筋力低下を生じる。

 

原因

特発性が圧倒的に多い。女性、特に妊娠出産期や更年期に多く、女性ホルモンの影響が考えられる。外傷による腫脹や関節リウマチなどの滑膜炎により生じる二次性のものもある。

 

症状

自覚的には正中神経領域のしびれ感や痛みを訴える。他覚的には同部位の感覚障害を生じる。進行例では母指球筋の筋力低下により対立運動(母指と他の指を合わせる運動)の障害が出る。

 

検査・診断

誘発テストとして手関節掌屈試験(Phalenテスト)や手関節背屈試験がある。典型例では症状が誘発され、しびれが増大する。手根管直上の手掌を叩くと指先への放散痛を認めるTinel様徴候も診断に有用である。正中神経の神経伝導速度検査で、手根管内での伝導遅延が認められれば診断が確定する。

 

治療

軽症例では安静、ビタミンB12投与、副腎皮質ステロイドの局所注射などにより改善することも多い。こういった保存療法を行っても症状が軽減しない場合や、母指球筋萎縮がある場合には、圧迫の原因となっている横手根靭帯を切離する手根管開放術が行われる。対立運動が不自由であり、術前の短母指外転筋筋力がほとんどない場合には、手根管開放術に加えて腱移行術による母指対立再建が勧められる。

執筆: 岩﨑 寛

神戸マリナーズ厚生会病院 救急科救急部長

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