フィブリノイド変性とは・・・
フィブリノイド変性(ふぃぶりのいどへんせい、fibrinoid degeneration)とは、血管壁などの結合組織に免疫グロブリン、補体成分、フィブリンなどが沈着した病変のことである。フィブリン様変性、線維素様変性、類線維素変性、類線維素膨化、線維素様膨化など様々な呼び方がある。
病変の主座は膠原線維である。その形成は各疾患での活動性病変の炎症過程に随伴して起こり、線維は体積の増加に伴い線維構造を失い、均等なガラス様を呈する。これは、血漿内の線維素が膠原線維を侵食し、線維間に沈着凝固した状態と考えられている。膠原線維自体も炎症性細胞から分泌された蛋白分解酵素の働きによって構造の変化を示す。フィブリノイド変性は、アレルギー性疾患や膠原病の特徴的病変である。
フィブリノイド変性を認める膠原病として代表的なものはSLE(全身性エリテマトーデス、systemic lupus erythematosus)である。SLEではフィブリノイド変性を伴う小動脈血管炎を認める。特に脾臓の中心動脈周囲に形成される同心円状のフィブリノイド変性を伴う線維化はonion skin leasion(オニオンスキン病変)と呼ばれている。結節性多発動脈炎でも生検で動脈壁にフィブリノイド変性を認めることが多い。
その他のフィブリノイド変性を認める膠原病としては、悪性関節リウマチ、アレルギー性肉芽腫性血管炎、ウェゲナー肉芽腫症がある。