強直性脊椎炎とは・・・
強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)とは、脊椎が硬く一本の骨のようになって動かなくなる非感染性の自己免疫疾患である。指定難病である。
日本人ではまれだが、10~20歳台の男性に好発し、家族歴を有することが多い。強直※は通常、仙腸関節から始まって上行し、脊椎の椎間関節に及ぶ。同時に、椎体に付着する靭帯や骨膜も骨化し、体幹の動きが制限されていく。
単純X線で、四角い椎体が竹節状に並ぶように見える所見を「竹様脊柱(bamboo spine)」と呼ぶ。
症状
初期
腰背部痛や殿部痛を認め、特に起床時などの安静時に強い。運動により疼痛が軽減するのが特徴である。深呼吸時の胸部痛、関節痛も認めることがある。
進行期
およそ40歳台で、強い疼痛と入れ替わるように、脊椎や関節の可動域制限が前面に出る。発症した全員の全脊椎が強直するわけではなく、高齢になるまでに全脊椎が強直する割合は約1/3である。老年期では脊椎のこわばりや倦怠感が主症状になる。
治療
運動療法と、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による薬物療法が治療の基本である。
脊椎や胸郭のこわばりを和らげ、疼痛を軽減する目的でゆっくりとしたストレッチやプールでの歩行などが勧められる。強い矯正を行う整体やマッサージは、骨折や靭帯損傷の危険性があるため推奨できない。
薬物療法として近年、関節リウマチにも使用される生物学的製剤のうちインフリキシマブ(レミケード®)とアダリムマブ(ヒュミラ®)という腫瘍壊死因子(Tumor Necrotizing Factor (TNF))阻害剤の適応が承認され、こわばりの改善や除痛に有効であることが分かってきている。
脊椎が前に曲がって前を向いて歩くことが困難になった場合、日常生活がままならないほどの腰痛が生じた場合や、内臓の圧迫徴候が強くなった場合などは、QOL改善の目的で手術の適応となる。
※「強直」:骨と骨がくっつき、関節が動かなくなること。