最終更新日 2018/04/04

ラップ療法

ラップ療法とは・・・

ラップ療法(らっぷりょうほう、wrap therapy)とは、擦過傷のような創傷、熱傷、褥瘡などの皮膚潰瘍の治療に行われる湿潤療法の一つである。

食品用ラップやポリエチレンフィルムを用いて、創の乾燥を防ぎ湿潤状態におくことで治癒を促す。

 

方法

ラップ療法は以下のような手順で行う。

1)創を水道水で十分洗浄する。壊死組織は除去する。

2)創より大きめにラップを切り、創を覆う。この際、ワセリンなどの保湿剤をラップに塗って覆うこともある。

3)ラップを包帯やテープで固定する。

4)創は1日1回観察する。夏は複数回交換することが望ましい。

5)創が上皮化するまで繰り返す。

 

注意すべきこと

ラップ療法に適さない傷は以下のような傷である。

・動物咬傷(どうぶつこうしょう)

・感染を併発している創

・滲出液が多い創

・末梢動脈閉塞などの虚血によって生じる創

 

ラップ療法は家庭でもできる簡便な創傷治療の一つである。しかし盲目的に行うことで、ラップ療法に適さない創に行われたり、感染を併発したりする危険性もある。その点を十分注意して行う必要がある。

 

日本褥瘡学会は2010年にラップ療法について、注意喚起の見解を出している。褥瘡の治療には認可された創傷被覆材の使用が望ましいとし、実施する際は、褥瘡についての十分な知識と経験を持った医師の責任の下で行うべきとしている。

執筆: 水 大介

神戸市立医療センター中央市民病院  救命救急センター医長

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