最終更新日 2017/07/25

機械弁

機械弁とは・・・

人工弁(代用弁)は人工物からできた機械弁と、亡くなったヒトや動物の弁、心膜など生体由来の組織でつくられる生体弁の2種類に大別される。機械弁(きかいべん)とは主に炭素線維やチタンなど人工の材料を弁の素材としている人工弁をさす。

 

心臓弁膜症、先天性心疾患、感染性心内膜炎など、様々な要因によって心臓弁の狭窄や逆流などが生じ、心臓弁機能を果たせなくなった弁は、「弁形成術(弁の手直しをする)」あるいは、「弁置換手術(弁を入れ替える)」が選択される。弁置換手術の際に使用する代用弁の選択肢として「生体弁」と「機械弁」がある。

 

この機械弁が初めて人に使用されたのは1960年であり、現在多くの機械弁が使用されている。現在主流となっているのは、炭素繊維を素材としたもので、中でも二葉弁と呼ばれる可動性の弁用部分が二枚あるものが主流である。弁輪径に対して有効弁口面積が広い弁も開発されている。機械弁には、大動脈弁用(肺動脈弁としても使用される)と僧帽弁用(三尖弁としても使用される)があり、患者に適合したサイズのものを選んで弁置換手術を行う。

 

機械弁の長所と短所

長所:耐久性に優れている。
短所:血栓が生じやすく、抗凝固療法のため毎日抗凝固剤(ワーファリン®)の服用が必要である。

 

合併症

人工弁機能不全

血栓などにより、弁の開閉障害が生じると、弁狭窄や逆流が発生し、それによる心不全が発生する。

 

血栓塞栓症

抗凝固剤の服用をしていても100%血栓を防ぐことができない。まれに、できた血栓が血液の流れに乗って身体の各部位に詰まり、重篤な塞栓症を引き起こすことがある(脳梗塞、四肢急性動脈閉塞症、急性上腸間膜動脈閉塞症など)。また、人工弁に付着した血栓による弁機能不全を発生することもある。一方、抗凝固剤の影響で出血しても止血しにくい状態になることから、出血や消化器癌などの出血性疾患が重篤化する場合がある。

 

人工弁感染

人工弁に細菌や真菌が繁殖し、感染性心内膜炎の原因となる。生体弁でも起こりうる。抗生物質の点滴治療で改善することはまれで、多くは人工弁の弁輪部分から感染が周囲に広がり、周囲の組織破壊により縫合部分から人工弁が外れて、逆流をきたすなど重篤化することが多く、再手術が必要となる。

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