リーメンビューゲル紐革装具とは・・・
リーメンビューゲル紐革装具(りーめんびゅーげるじゅうかくそうぐ)とは、先天性股関節脱臼の患児の足を固定し、脱臼状態を治療する装具のことである。なお、リーメンビューゲルとは、革でできた鐙(あぶみ)のことを意味するドイツ語である。
一般的に生後間もなく~数か月の乳児がリーメンビューゲル紐革装具を使用する。先天性股関節脱臼を治療するために、1歳になってからリーメンビューゲル紐革装具を使用する場合もまれにある。しかし、歩行を始めてからリーメンビューゲル紐革装具を使用すると整復できる確率が低くなることが多い。
先天性股関節脱臼
乳児の股関節の骨頭(こっとう)が骨盤側の臼蓋(きゅうがい)から外れている状態を、先天性股関節脱臼と言う。骨頭が臼蓋から外れかかっている状態を先天性股関節亜脱臼、臼蓋の形状が完成していない状態を先天性股関節臼蓋形成不全と言うこともある。いずれの状態も先天性股関節脱臼の1つの形態と見て先天性股関節脱臼と同じ治療を行う。
使用方法
1.リーメンビューゲル紐革装具の中央部を乳児の肩にかける。
2.脚を曲げた状態でリーメンビューゲル紐革装具の先端を足先にかける。
3.容易に外れないように脇の下とふくらはぎ部分をバンドで固定し、その状態を数日保つ。
ただし、脱臼が治っても股関節の骨頭が適切に臼蓋に収まるよう、3か月~4か月はリーメンビューゲル紐革装具を装着し、完治するまで治療を継続する。
数日しても脱臼が治らない場合は、脚をけん引するなどの治療を実施する。体の外から力をかけても治癒しない場合は、外科手術が必要になる場合もある。
使用上の注意点
手入れ
リーメンビューゲル紐革装具は本革を使用していることもある。本革で作られている場合は、基本的には水洗いができない。夏場などは臭いが発生することもあるので、空拭きを丁寧に行うなどの対策が必要になる。
装着後の乳児の様子
リーメンビューゲル紐革装具を装着すると、乳児は体を著しく固定され、動きを制限される。そのため、不機嫌な状態、夜泣き、睡眠不足、運動不足による下痢や便秘などの症状が見られることもある。数か月にわたって治療が及ぶため、栄養管理・健康管理には充分に注意が必要である。
装着後の注意点
リーメンビューゲル紐革装具で治療しているときも、入浴などの場合には一時的に装具を外すこともできるが、装具を外す時間をなるべく短くする必要がある。
リーメンビューゲル紐革装具で脚部を開いたまま固定すると、ベビーカーやチャイルドシートに乗せにくくなることがある。装具がずれると治療が長引くため、外出する際には脚が正しい状態で固定されているように頻繁に確認することが求められる。
また、リーメンビューゲル紐革装具を装着している状態では靴をはかせることができない。冬期の外出時には、足元が冷えないようにカバーオールなどで覆うことが必要になる。