最終更新日 2017/07/24

細胞内寄生菌

細胞内寄生菌とは・・・

細胞内寄生菌(さいぼうないきせいきん)とは、生きた細胞内に寄生して増殖する細菌の総称である。通性細胞内寄生菌と偏性細胞内寄生菌に大別される。

細胞内寄生菌に対して、増殖できる場所が細胞外に限定される病原菌を細胞外寄生菌という。ほとんどの病原体が細胞外寄生菌に属するが、リケッチアやクラミジアなど数種の病原菌は偏性細胞内寄生菌に分類される。

 

通性細胞内寄生菌

通性細胞内寄生菌は、細胞内と細胞外、どちらでも増殖できる病原性細菌を指す。代表的な病原性細菌として、結核菌、チフス菌、梅毒トレポネーマなどが挙げられる。

 

結核菌

結核の原因菌である。ヒトが込むことで空気中に散り、空気感染する。長期的な咳、痰、発熱が初期症状として現れ、重症化すると息切れ、血の混じった痰が出る、血を吐く、呼吸困難などの症状が現れる場合もある。治療は薬物療法が選択される。

 

チフス菌

腸チフスの原因菌である。患者や症状の無い感染者の便により汚染された食品や水を介して、口を経由して感染し、発熱、バラ疹、腸出血などが症状として現れる。消化の良い食事と安静、抗菌薬を使用して治療する。

 

梅毒トレポネーマ

梅毒の原因菌である。梅毒トレポネーマに感染しているヒトとの性交や、感染している妊婦の経胎盤感染で胎児が感染する。感染後の経過期間により症状は変化するが、しこり、関節痛、発熱、脱毛、大動脈炎などの症状が起こる。治療の第一選択としてペニシリンを使用する。

 

偏性細胞内寄生菌

偏性細胞内寄生菌は寄生する細胞の外では増殖できない病原性細菌を指す。代表的な病原性細菌にリケッチア、クラミジアなどが挙げられる。
これらの微生物は単独で人工的に培養することができず、生きた細胞を使用して、その細胞に寄生させて培養する必要がある。通常の細菌とは、自己増殖力を持たない点で異なる。

 

リケッチア

元々野山に生息するダニやノミが持つ病原体で、この病原体を持ったダニやノミに刺されることで感染する。高熱、発疹頭痛、倦怠感などが症状として現れ、治療には抗生物質を使用する。

 

クラミジア

鳥類からヒトに感染するオウム病クラミジア、性行為や産道で感染するトラコーマクラミジア、咳込むことでヒトからヒトに感染する肺炎クラミジアが、ヒトに対して病原性を持つ。

クラミジアによる主な疾患として性器クラミジア感染症やトラコーマ(伝染性の急性あるいは慢性角結膜炎)、急性呼吸器感染症、中耳炎があげられる。治療には抗生物質を使用する。

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