乳腺炎とは・・・
乳腺炎(にゅうせんえん、mastitis)とは、乳房を形成する組織の炎症で、乳腺の炎症と周囲の肉芽組織の炎症がある。
炎症の原因として必ずしも感染が関与しているわけではなく、多くの場合、抗生剤は不要である。
一般的に多いのは授乳中の妊婦のうっ滞性乳腺炎で、搾乳、乳房マッサージのみで90%以上は治癒するが、無治療の場合は50%程度が化膿性乳腺炎に移行する。搾乳を継続しても12~24時間以上乳腺炎の状態が持続する、または状態が急速に悪化する場合には抗菌薬治療を開始する。化膿性乳腺炎で抗菌薬治療が遅れると、膿瘍形成に移行するリスクが増える。膿瘍形成を疑う所見としては腫瘤の触知と周囲の発赤等がある。膿瘍形成を疑う場合には超音波診断で膿瘍を確認し、穿刺または切開排膿を行う。
乳腺炎の状態であっても授乳は可能な範囲で継続することが推奨されている。
疼痛コントロールについては疼痛コントロールのみのアセトアミノフェンよりも消炎鎮痛作用も含んだイブプロフェン等の使用が推奨されている。
予防方法としては母親自身での搾乳やマッサージ、清潔に保つよう指導する等がある。