最終更新日 2018/01/09

膀胱タンポナーデ

膀胱タンポナーデとは・・・

膀胱タンポナーデ(ぼうこうたんぽなーで、bladder tamponade)とは、主に凝血塊によって下部尿路が閉塞し、膀胱が尿と凝血塊により極度に緊満した状態のことである。患者は苦痛を訴え、緊急な対応が必要となる。

 

原因

尿路の外傷、腎血管異常、腫瘍、尿路の手術による医原性のもの、薬剤性および放射線膀胱炎など、さまざまなものが挙げられるが、なかでも膀胱腫瘍や放射線性膀胱炎が膀胱タンポナーデの原因としては多い。抗凝固薬や抗コリン薬の服用が助長因子として挙げられる。

 

症状

膀胱緊満による下腹部の膨隆、圧痛と強い尿意を訴え、頻尿尿閉溢流性尿失禁を伴う。出血が高度になると貧血血圧低下、ショック状態に至ることもある。

 

治療と処置

まずは、膀胱タンポナーデによる圧迫を解消するために胱内に充満している凝血塊を完全に取り除き、「出血による凝血塊形成→下部尿路の閉塞→膀胱過伸展」という悪循環を断つことが重要である。

 

具体的には、20Fr程度の尿道カテーテルを挿入し、生理食塩水で頻回に洗浄を回収液が清明に近くなるまで繰り返す。その後、灌流用の3 way尿道カテーテルを留置し、生理食塩水による持続膀胱灌流を行い凝血塊の形成を予防する。難治性膀胱出血に対しては出血の原疾患に対する経尿道的止血術などが必要となってくる。

執筆: 小林 実

宇都宮記念病院 泌尿器科科長

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