最終更新日 2018/10/29

疥癬

疥癬とは・・・

疥癬(かいせん、scabies)とは、ヒゼンダニにというダニが皮膚に寄生して起こる皮膚疾患である。通常疥癬と角化型疥癬があり、角化型疥癬は高齢者施設や病院・療養施設でたびたび流行する。

 

原因・症状

通常疥癬

通常疥癬は、長時間、皮膚同士が接触、または寝具や衣類を介した間接接触でダニが移動することで感染する。感染から症状発現までは、1~2カ月と長い。
症状は、疥癬トンネル、丘疹、結節を認める。疥癬トンネルは手掌、指間、指側面などに多く、丘疹は胸部、腹部、四肢にみられ、激しいかゆみを伴う。男性の外陰部に発生すると、数mmの結節を認める。

 

角化型疥癬

角化型疥癬は、ダニの虫量が多く、感染力が非常に強い。短時間の接触や衣類、寝具を介した間接的な接触でも感染する。また、剥がれ落ちた垢(鱗屑)にも多数のダニが生存しており、それが付着することで感染する。潜伏期間は4~5日である。

 

症状は、灰色から黄白色でざらざらと重積した鱗屑が、手、足、臀部、肘、膝に見られ、にも見られることがある。

 

診断

顕微鏡やダーモスコピー検査でヒゼンダニが確認できれば、診断確定となる。しかし、ヒゼンダニの検出率は10~60%で、身体の多数部位を検索することが必要である。皮膚の疥癬トンネル、男性の外陰部の結節など皮膚所見や、周囲の流行状況や接触歴などを総合して診断する。

 

治療

イベルメクチン内服、クロタミトン軟膏、フェノトリン、イオウカンフルローション外用がある。掻痒感に対しては、抗ヒスタミン薬の内服を行う。2週間程度で症状は軽快し、通常疥癬は3週間~1カ月で終息する。角化型疥癬は、周囲の流行も含めて約2カ月で終息するが、高齢者では長期化することもある。

 

感染した場合は、タオルなどの個別使用、寝衣や下着の小まめな交換、個室の使用が望ましい。家族や施設では手洗いの励行、角化型疥癬の場合は、手袋や予防着の着用、靴、スリッパの履き替えを行う。

執筆: 上村恵理

長崎大学病院 高度救命救急センター助教

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