尖足とは・・・
尖足(せんそく)とは、足の変形の一種で、足の甲側が伸び、足先が下垂したまま元に戻らなくなった状態のことである。踵を地面につけることができないため、足先で歩くような状態になり、体の支持機能に影響を及ぼす。
成因別の尖足
尖足の成因別に捉えると、以下のようなものが挙げられる。
(1)先天性内反足による尖足
生後に、尖足、足の先が親指の方に曲がっている内転足、土踏まずが高い凹足(おうそく)といった先天性の変形が合併することによって起きる。
(2)麻痺性尖足
ポリオなどの脊髄性麻痺により、背屈筋の筋力が低下することによって起きる。
(3)痙直性尖足
脳性小児麻痺や脳卒中などの痙性麻痺により、底屈筋の緊張が高まることによって起きる。
(4)習慣性尖足
長期間寝たきりの状態により、足の重みや掛け布団の圧迫によって起きる。
この他、片方の下肢が短いとき、それを補うために尖足になることもある。
短い方の下肢を補うための尖足は、矯正すると逆に不便になってしまうため、ほとんどの場合はその状態を維持することになる。それ以外の原因による場合は、マッサージなどの矯正法を用いる他、重症の場合は手術を行うこともある。
一方で、麻痺による尖足や習慣性尖足は予防可能な症状であり、原因となる疾患の治療の際には、足関節を固定したり、マッサージや足関節の自他運動を行うことで関節拘縮を予防することが重要とされている。
引用参考文献
1)加辺憲人.足趾の機能.理学療法科学.18(1),2003,41-48.
2)“先天性内反足”.日本足の外科学会.
3)蜂須賀研二.ポリオ後症候群の装具療法.リハビリテーション医学.41,2004,292-2.
4)中村浩志ほか.血管攣縮が病因と思われた尖足の1例.日本臨床外科学会誌.65(9),2004,2510-2514.
5)山口哲ほか.腓骨神経麻痺後の尖足に対しアキレス腱延長術を行った1例.整形外科と災害外科.47(1),1998,214-216.