筋肉にはどのような種類があるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は「筋肉の種類」に関するQ&Aです。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
筋肉にはどのような種類があるの?
筋肉は骨格筋、心筋、平滑(内臓)筋の3つに大別できます(表1)。
このうち、私たちが通常「筋肉」と称しているのは骨格筋ですが、心筋、平滑(内臓)筋も「筋肉」です。それぞれの特徴を簡単に記しておきましょう。
骨格筋
骨と骨をつないで体を動かすための筋肉が骨格筋です。束状に集まった筋線維で構成されており、周囲を筋膜で包まれています。
骨格筋は自分の意思で動かすことができるため、随意筋(ずいいきん)と呼ばれます。骨格筋は、体性運動神経によって支配されています。
組織学的には、縞模様の横紋が見られる横紋筋(おうもんきん)で、迅速で強力な収縮を行うことができますが、運動によって疲労します。
心筋
心臓壁を構成する筋肉を心筋といいます。
骨格筋と同じく横紋筋ですが、意思で動かない不随意筋(ふずいきん)です。いくら動いても疲労しない点も骨格筋とは異なります。
心臓のペースメーカーと呼ばれる部位から興奮が生じ、刺激伝導系によって興奮が次々に伝わると、心臓をリズミカルに収縮、拡張させます。
激しい運動をした時には心臓の拍動が速くなり、安静時には拍動が遅くなるといったように、心筋の運動は自律神経によって調節されていますが、随意的に支配されているわけではありません。
心筋細胞は分裂する能力を持っていないため、心筋梗塞などで損傷・壊死すると再生することはできません。
平滑(内臓)筋
消化管や気道などの内臓壁、血管壁などを構成するのが平滑(内臓)筋です。骨格筋や心筋とは違い、横紋は見られません。
平滑(内臓)筋は意思で動かすことのできない不随意筋です。筋そのものの収縮力は横紋筋に及びませんが、疲労することなく動き続けることができるため、内臓のリズムを保ち続けることができます。
平滑(内臓)筋は心臓と同じように、自律神経の支配を受けています。
MEMO横紋筋と平滑筋
横紋筋には、アクチンという細い筋線維と、ミオシンという太い筋線維が交互に規則正しく並んでおり、縞模様のように見えます。平滑筋は先端が先細りになった細長い細胞の集まりで、縞模様は見えません。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版