長い時間、同一体位をとっていると褥瘡(じょくそう)ができやすいのはなぜ?

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『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は褥瘡に関するQ&Aです。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

長い時間、同一体位をとっていると褥瘡ができやすいのはなぜ?

 

同一身体部分を圧迫し続けているために、その部分の皮膚に血行障害が起こるためです。

 

〈目次〉

 

褥瘡とは

褥瘡とは、体外からの圧迫による皮下の血流障害により、阻血性壊死を起こした状態をいいます。

 

全身衰弱、意識障害運動および知覚障害などのある患者は、体位変換が困難であることが多いため、身体の一部分が持続的な圧迫を受けることになり、褥瘡の誘因となってしまいます(図1)。

 

図1褥瘡発生の要因

褥瘡発生の要因

 

(村中陽子、玉木ミヨ子、川西千恵美編:学ぶ・試す・調べる看護ケアの根拠と技術、第2版、p.154、医歯薬出版、2013)

 

 

褥瘡の経過は

循環障害に陥った皮膚は、はじめ発赤し、次に水疱を形成し、表皮の剥奪びらん)を起こします。さらに圧迫が続くと、酸素・栄養分の供給が妨げられて、皮膚全層、皮下組織、筋肉壊死を起こし、潰傷を形成します。

 

褥瘡の予防は

褥瘡の予防と悪化の防止には、原則として1時間半ないし2時間ごとに体位変換をすることが基本です。体位変換には局所的な同一部位への圧迫を避けるという効果だけでなく、体動による血行の促進なども期待できます。体位変換時の寝具の移動によって、寝床内の温度、湿度、気流が調整され、皮膚の乾燥が促されます。

 

全身的、局所的発生因子がそろえば、約2時間の局所圧迫で褥瘡は発生するといわ体位れています。一方、一度発生した褥瘡は非常に治りにくいものです。要するに、褥瘡は易発生性難治性易再発性であることを念頭において、予防することが大切です。

 

褥瘡のケアのポイント

表1DESIGN-R、NPUAP分類

DESIGN-R、NPUAP分類

 

(mindsガイドラインセンター http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0036/G0000181/0038より改変)

 

  • 褥瘡のケアは、悪化すると治りにくいので予防と早期発見が重要です。褥瘡発生のリスクアセスメントスケールとして、ブレーデンスケールや厚生労働省危険因子評価があります。発生の危険を予測するとともに、その要因をできるかぎり排除し、褥瘡発生を予防するケアを行っていきます。
  • 自力で身体を動かせないときの体位変換は褥瘡予防の除圧のためだけでなく、身体機能を維持し、組織耐久性を高めるためにも不可欠です。
  • 1日1回、全身の皮膚の状態を観察しながら、できるかぎり全身の清潔を保つようにしましょう。
  • 褥瘡の評価として、DESIGN-R、NPUAP分類があります(表1)。褥瘡は、創面の色、深さと大きさ、感染の徴候を客観的に評価し、その状態に応じたケア方法を選択していきます。
  • 肉芽組織に消毒液を使うのは、正常な治癒過程を阻害するので禁忌です。
  • 褥瘡があっても、シャワーや入浴など積極的に行い、異物や壊死組織を除去するため洗浄します。浴槽内は異物なども混在しているため、最後に創部をシャワーで洗い流します。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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