タンポンって結局どうなの?ナースが生理用品を選ぶためのQ&A

「ナプキン派」?それとも「タンポン派」?

ユニチャーム株式会社が13歳~49歳までの女性1,000人に実施したアンケートによると、タンポンを常用している日本人女性は、全体の約2割なのだとか。

しかし、タンポン使用者の86.5%はその使用感に「満足している」と回答しており、中には「生理中であることを忘れる」ほど快適であるという意見も。また、欧米の先進国にはタンポン派が多く、米国では約半数(※)の女性がタンポンを愛用しており、「この差ってなに?」「もしかして、まだタンポンの魅力を知らないだけ?」と考えずにはいられません。

(※参照:『アンネナプキンの社会史』小野清美著)

 

そこで、編集部ではタンポンにまつわるあらゆる情報を集め、Q&Aでお届けすることにしました。
「長時間の立ち仕事で生理って憂鬱」と感じている看護師さんの利点も、いろいろと見えてきましたよ!

 

【目次】

 

 

看護師が使用するメリット・デメリット

Q.看護師がタンポンを使用するメリットが知りたい! 

 

A.和歌山労災病院産婦人科の調査(※PDF)によると、夜勤のある看護師はそれ以外の人より「生理=辛い」という感覚を強く感じていることがわかっています。そのため、独特の臭いや血が流れ出る感触など、〝月経特有の嫌悪感を軽減する〟という意味において、タンポンは有効であると考えられます。

 

また、タンポンはハードに動きまわっても漏れにくいので、薄い色の制服が義務づけられている看護師にも安心です。以下に、タンポンのメリットとデメリットをまとめてみました。

 

【メリット】

  • ・蒸れ・においが気にならない・ゴワつかない
  • ・血が流れ出る感覚がなくて快適
  • ・小さいので携帯に便利
  • ・ナプキンよりも長時間使用できる
  • ・プールや入浴、旅行なども気にならない
  • ・アウターにひびかない
  • ・横漏れ、後ろ漏れしにくい

 

【デメリット】

  • ・慣れるまで挿入が難しい
  • ・定位置まで挿入しないと違和感や痛みを伴うことがある
  • ・紐が切れたり、中に入るなどのトラブルが稀にある
  • ・取り出すときに手が汚れることがある
  • ・自治体によっては、アプリケーターのゴミの分別が面倒
  • 排尿時に紐が濡れると不衛生
  • ・少量時の使用で痛みがでることがある

 

タンポンとナプキンを併用する人や、普段はナプキン派でも、多い日やいざというときにはタンポンと併用する人もいます。その場合漏れる確率はぐんと減るものの、コスト高というデメリットも。

 

 

Q.タンポンを使用すると、TSS(トキシックショック症候群)のリスクがあると聞きました。TSSってどんなもの?

 

A.TSSとは、黄色ブドウ球菌による毒素が原因で起こる急性疾患です。米国のメーカーのタンポンが原因で、1978年頃には使用者に高熱、下痢、吐き気、喉の痛み、頭痛めまいなどの症状が現れ、発病者330名、そのうち29名が命を落としました。当時はタンポンそのものによる病気とみなされタンポン離れが進んだものの、その後の調べで、黄色ブドウ球菌が原因であることがわかりました。

ですが、黄色ブドウ球菌は珍しい菌ではなく、火傷や傷口にも生息しています。使用時間や使用方法さえ守っていれば、過度に恐れる必要はなさそうです。

 

タンポンの種類と使用法

Q.タンポンにはどんな種類があるのですか?

 

A.日本で入手しやすいものには、適切な位置まで誘導する「アプリケータータイプ」と、指で挿入する「フィンガータイプ」の2種類があります。

 

アプリケータータイプはプラスチックケースが付いているので挿入が簡単で、フィンガータイプは吸収体をそのまま使うので小さくて持ち運びに便利です。フィンガータイプは慣れるまでは挿入に手こずることもあるので、どちらかというと上級者向けと言えそうです。

 

また、初心者用や大きさなどの種類があるので、その日の量に合わせて選ぶことができます。
以下に、タンポン使用時のコツをまとめました。

 

【タンポン使用時のコツ】

  • ・リラックスして挿入すること。
  • ・タンポン本体にあまり触らないようにすること(衛生上)。
  • ・前から後ろに向かって挿入すること。
  • ・タンポンは入れすぎても子宮に入ることはないので、きちんと奥まで挿入すること。こうすることで痛みや、腹圧で出てくるなどのトラブルを防ぐことができます。
  • ・4~8時間を目安に交換し、8時間以上は使用しないこと。
  • ・痛みがある場合には使用をやめること。

 

より詳しい使用方法は、ユニ・チャーム『タンポン使い方ガイド』にてご確認ください。

 

タンポンは長時間勤務に向いている?

Q.ナプキンを使用しているものの、勤務中はなかなか替えられないのでタンポンが気になっています。タンポンは長時間勤務に向いていると聞きますが、ちょっと抵抗もあって・・・。

 

A.基本的にはタンポンも連続使用を避け、ナプキンと交互に使うことが推奨されています。タンポンの最大使用時間は、量によるものの4~8時間が目安。そのため、夜勤を交換なしで乗り切るのは難しいかもしれません。

 

●最近注目の『月経カップ』とは?

最近では、米国で誕生した月経カップが注目を集めています。月経カップとは、注射器のキャップなどにも使われている非刺激性素材でできたやわらかなシリコン製カップで、吸収性のタンポンと違って、量が少ない時でも痛みを感じにくく、12時間の連続使用も可能で夜勤中でも楽チン。洗って使用できるので長い目で見ると経済的というメリットもあります。

 

(関連記事:話題の生理用品「月経カップ」が気になる!忙しくてトイレに行けないナースにいいかも?

 

DivaCup.jpg
"DivaCup" by No machine-readable author provided. Jip 26 assumed (based on copyright claims). - No machine-readable source provided. Own work assumed (based on copyright claims).. Licensed under CC 表示-継承 2.5 via ウィキメディア・コモンズ.

 

「ディーバカップ」「ムーンカップ」「スクーンカップ」などの商品名でネットで販売されており、サイズや色などさまざまな種類がありますが、日本人が最初に使うには「小」からで問題なさそうです。品質が保証された米国FDA認証のものを選ぶと安全です。

 

【月経カップの使用方法】

挿入時

1)きれいに洗った手で、カップをUの字になるように二重に折り曲げ、膣に挿入。タンポンのように奥まで入れなくても問題ありません。

2)膣の中で指を離し底を押し入れましょう。カップが開きます。開かない場合には、何度かカップの下部を押し、中の空気を押し出すようにします。

 

取り外す時

1)きれいに洗った手で、前かがみの中腰になり、膣に力を入れてカップを押し下げます。カップ底の突起部分が指に触れたら引き出し、さらにカップの下部をつまんで空気を押し出すように引き出します。

2)お湯と石鹸などで洗い、再び装着するときには軽くゆすいでから再装着します。長く使用しない場合には煮沸消毒しましょう。水気を拭き、付属の布袋に入れて保管します。

※装着した位置がずれている場合や経血が溢れそうになると、膣の中でプシュッと空気が漏れる感触があるので、その場合には一度取り外してチェックするようにします。

 

慣れるまでは違和感を感じたり、種類によっては取り外し時に強い痛みを感じたりするなどの注意点も。慣れると、「ナプキンよりもタンポンよりも快適」という人も多くいますので、一つの選択肢として参考にしてみてください。

 

タンポンの歴史―古くはミイラの時代から

Q.欧米で、日本人よりも「タンポン派」が多いのはなぜですか?

 

A. 『アンネナプキンの社会史』(小野清美著)によると、実はタンポンの歴史は古く、紀元前3000年頃のエジプトのミイラの膣内からタンポンが発見されていると言います。また、ヨーロッパの人々は長く下着をつける習慣がなく、そのため、ナプキンよりも布などでできた簡易のタンポンが適していたそうです。

 

一方、日本では平安時代から真綿の入った紙や絹をナプキンのように使用しており、タンポンは生理用品としてより避妊具として用いられることが多かったようです。こうした歴史的背景が「タンポンへの抵抗感」の差として表れているのかもしれません。
また、日本では最初に学校で習うのが「ナプキンの使用方法」で、そもそもタンポンの使用方法を知らないということも要因のようです。

 

ちなみに、ナプキンは第一次世界大戦時に活躍した従軍看護師たちが、包帯の繊維が経血の吸収に適していることに気づいて真っ先に使い始めたそうです。それにヒントを得て、1921年に初めてアメリカで使い捨てナプキンが市販されました。看護師がナプキンの火付け役だったとは驚きですよね。

 

 

いかがでしたか?女性と月経は、ある年齢までは切っても切り離せません。タンポンは、うまく付き合うことさえできれば快適な月経期間を過ごすことができそうですね。

 

タンポンを使用するきっかけには、ナプキンだと「漏れ」が気になってしまうからという理由も多くあります。ただ、月経量が極端に多い場合には婦人科系の疾患も疑われます。思い当たる場合には、まずは婦人科の受診をおすすめします。

 

【ナプキンの悩みには】生理痛がきつい・白衣に漏れそうで怖い・替えられない…【生理ナプキン】のお悩み解決法5つ

 

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話題の生理用品「月経カップ」が気になる!忙しくてトイレに行けないナースにいいかも?

 


(参考)

『アンネナプキンの社会史』小野清美著(宝島社文庫)

タンポンNavi(ユニ・チャーム)

看護師の夜間労働が月経および内分泌系に及ぼす影響(独立行政法人労働者健康福祉機構和歌山労災病院産婦人科)

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