働く女性の現代病・月経前症候群(PMS)は緩和できる!|働くナースが知るべき病気【7】

婦人科医の清水なほみが、看護師のみなさんに知っておいてほしい病気についてお知らせします。

 

働くナースが知るべき病気【7】

働く女性の現代病・月経前症候群(PMS)は緩和できる!

 

月経前症候群(PMS)」は、排卵後から月経の直前の時期にかけて、さまざまな体調不良や精神的な症状が出る病気です。月経が来たとたん、それらの症状がすっかり消えてしまうのが特徴です。排卵後から2週間近く具合が悪い人もいれば、月経直前の1日だけ寝込んでしまうという人もいます。


PMSを緩和するには、日々の暮らしで意識することが重要。ここでは、PMSの症状を緩和するための方法をご紹介します。

 

 

【目次】
私はPMS?と思ったら

人によってさまざま。その症状はPMS?

PMSに効くアロマ・食材・サプリメント

ピル・漢方の役割は「症状を抑える」こと

 

私はPMS?と思ったら

最近、PMSの症状を訴えて受診されるケースが増えてきました。


多産だった昔は、生理的無月経の期間が長く、月経前の症状もそれほどでなかったのかもしれません。しかし現代では、晩産化・少子化のために一生のうちに迎える月経の回数が極端に増えました。その上、ハードワークやさまざまなジェンダープレッシャーにさらされているので、ストレスのせいもあってかPMSになる女性は急増しています。

 

そういった意味で、PMSは現代病といえるでしょう。

 

PMSかどうかの目安は、「体調や気分の変化があっても日常生活が普通に送れているか」「仕事に影響が出ていないか」など、自覚症状が基準になります。


月経前には誰もが多少体調が悪くなったりイライラしやすくなったりしますが、それらの変化が極端で、日常生活に支障をきたしてしまうレベルになるとPMSだといえます。月経が来たとたんにケロっと治ってしまうのが特徴なので、基礎体温をつけながら体調の変化を記録すると、自分がPMSなのか見当をつけやすくなるでしょう。

 

人によってさまざま。その症状はPMS?

PMSの症状は本当にさまざまです。人によっては「え!そんな症状が出るの?」とこちらが驚いてしまう症状を訴える方もいらっしゃいます。


体の症状として代表的なのが、月経前の下腹の痛み・腰痛頭痛めまい吐き気・ひどいむくみ・便秘・ニキビなど。
他にも、肩こりや手のしびれなど、他の病気と紛らわしい症状が出ることもあります。

 

精神的な症状では、月経前のイライラ・気分の落ち込み・集中力の低下・仕事ができなくなる・不眠・理由もなく突然泣きたくなる・過食・甘いものばかり食べ過ぎるなど。


いずれも、うつなどの精神科的な病気との区別がつけにくい症状が多いのですが、「月経が来たら嘘のように症状が消えてしまうかどうか」で判別します。

 

PMSに効くアロマ・食材・サプリメント

ストレスや栄養の偏りはPMSを悪化させますので、できるだけハードワークを避けてストレスをためないことが最も大事です。
といっても、日々忙しく働く看護師さんは難しいかもしれません。ハーブティーやアロマなど、自分なりのリラックスアイテムを生活の中に取り入れて、気軽に気分転換できるようにしておくといいでしょう。

 

ちなみに、チェストツリーやセントジョーンズワートなどのハーブは、PMSの症状を緩和させるといわれています。

 

■PMSの症状を緩和させるアロマ

・チェストツリー・・・イライラや倦怠感をおさえる
・セントジョーンズワート・・・イライラや鬱の気持ちを鎮める

 

また、パン・ご飯・麺類などの炭水化物や、甘いもの・カフェイン類などの嗜好品はなるべく避けて、緑黄色野菜・小魚・ナッツ類を積極的に摂りましょう。


炭水化物や甘い物は血糖値を急激に上げるため、食欲が不必要に増進したり、イライラが増してしまったりすることがあります。また、カフェインには交感神経を活性化させ、神経が緊張して不安感を引き起こしてしまう働きがあります。

 

ビタミンB群やE群・γリノレン酸・カルシウムをサプリメントで補うのも効果的です。

 

摂るべき食材 避けるべき食材
緑黄色野菜 パン・ご飯・麺類などの炭水化物
小魚 甘いもの
ナッツ カフェイン類などの嗜好品

 

■効果的な栄養素

  • ビタミンB群・・・鬱症状や不安感を解消する働きがある
  • ビタミンE群・・・ホルモンバランスを整え、血行を促進する
  • γ-リノレン酸・・・女性ホルモンの働きを整える作用がある
  • カルシウム・・・精神の安定効果があり、ホルモンの分泌や作用にも必要

 

ピル・漢方の役割は「一時的に楽にする」こと

PMSの治療には、低用量ピルや漢方がよく用いられますが、これらはPMSを根本的に治療するものではなく、ホルモンのバランスを整えて症状を軽くするものです。


低用量ピルで排卵を抑えるとホルモンの波が一定になり、症状が治まることがあります。完全に症状がなくならないまでも、体調の変化の「大波」が「小波」くらいにはなるため、自分でコントロールできる範囲に症状を抑えることが可能です。

 

むくみやめまいに対しては漢方を併用したり、精神的な症状がメインの時には不安や気分の落ち込みを改善する薬を使ったりした方がいい場合もあります。


しかし、効き方は人によってかなり違います。ピルを飲んでも精神症状が改善しないこともありますから、この場合は婦人科と一緒に心療内科でも相談してみるといいでしょう。

 


【清水なほみ】

日本産婦人科学会専門医で、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。産婦人科・女性医療統合医療を専門に、患者に最適な医療を提供。クリニックのほかに、NPO法人やAll aboutガイドなどでも情報提供や啓発活動を行っている。

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