初めての手術前のプレパレーション
『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』(インターメディカ)より転載。一部改変。
今回は初めての手術前のプレパレーションについて解説します。
佐々木祥子
東京都看護協会/小児看護専門看護師
初めての手術前に
言語や認知能力が発達過程にある患児は、手術の説明を受け、理解することは困難である。しかし、何が起きるのか、どんなことをするのか、人形や医療器具を使って疑似体験し、心的準備ができるように支援する。
興味を誘う
患児にとっては、なじみのない、見慣れない医療器具が多く、不安や緊張を強めるおそれがあるため、動物柄やキャラクターがついている医療器具(図1)などを用い、患児の興味を引く。
図1 動物柄やキャラクターがついている医療器具
擬似体験:聴診
おもちゃの聴診器や実際の聴診器を渡す。
次に、聴診器を人形や看護師の胸にあてて、聴診がイメージできるように説明する(図2)。
例えば、「〇〇ちゃんのお胸の音を“もしもし”して聞いてみるね」などと話す。
図2 聴診の擬似体験
キワニス人形(ドール)
国際キワニス日本地区によって制作されている白無地の人形(図3)。イラストを描いたり、縫いつけて治療や検査の説明をする。症状を確かめる時に使うなど、自由に活用することができる。患児の恐怖心や入院のつらさを和らげる玩具としても有効。
図3 キワニス人形(ドール)
疑似体験:血圧測定
マンシェットを人形の腕に巻いてカフを握ると、加圧されてマンシェットが膨らむことを見せながら説明する(図4)。
例えば、「血圧をはかるときは、“シュポシュポ”と音がして、腕が“キュゥ”と締め付けられる感じがするけど、痛くないからじっとしていてね」などと説明する。
図4 血圧測定の擬似体験
POINT
■説明した看護師が手術当日の担当となるようにする。
疑似体験:心電図モニター
人形の胸に心電図モニターの電極を貼り、貼付位置を説明する(図5)。実際に患児の胸にも電極を貼り、痛みがないことを理解できるように説明する。
例えば、「手術のお部屋では、このシールをペッタンコします。ほらね、1個、2個、3個。上手に貼れました」などと、話す。
図5 心電図モニターの擬似体験
POINT
医療器具をこわがる患児の場合
■医療器具をこわがる場合は、無理に勧めず、お気に入りのおもちゃで遊ぶ。
■紙芝居やカードを使い、説明する。
疑似体験:マスク
看護師といっしょにマスクを当てて、ごっこ遊び。マスクを口に当てることに慣れるよう、遊びを通して、呼吸の練習となるよう誘導する(図6)。
例えば、「お鼻とお口の上にぴったりかぶせて、はい、スーハー。スーハー、スーハーできるかな?」「○○ちゃん、とっても上手だね」
上手にできたことを積極的にほめる。
図6 マスクの疑似体験
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本連載は株式会社インターメディカの提供により掲載しています。
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[出典] 『新訂第2版 写真でわかる小児看護技術 アドバンス』 監修 山元恵子/編著 佐々木祥子/2022年7月刊行/ インターメディカ