停電時の体圧分散用具の対応

『写真でわかる看護技術 日常ケア場面でのポジショニング』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は停電時の体圧分散用具の対応について解説します。

 

栁井幸恵
綜合病院山口赤十字病院/皮膚・排泄ケア認定看護師

 

 

停電時の体圧分散用具の対応

エアーマットレスなど電源を必要とする体圧分散用具は、停電の際など緊急時の対応を知っておく必要があります。

 

非常電源などがある施設ではそれに切り替えることはもちろんですが、人工呼吸器や治療に必要な医療機器に電源確保が優先されるなか、体圧分散用具は緊急時応急処置を行うことで、その効果が持続する期間を延ばすことができます。

 

ただし、体圧分散用具の種類やメーカーによってその対応方法は異なるため、自施設の体圧分散用具の緊急時の対応等を確認しておくことが必要です。

 

1 停電など電源確保が困難な際に受ける影響

停電時、エアマットレスは動力を失います。そのため停電時間の経過とともにマットレス内の空気が徐々に抜けて圧分散性が低下し、底付きの可能性が考えられます。

 

また、圧切り替えや自動体位変換などの機能も稼働しません。

 

2 停電時の対応

体圧分散用具によって機能は異なりますが、短時間の停電であれば問題なく使用できます。

 

ただし、マットレス内の空気は少しずつ抜けるため、停電が長時間になる可能性がある場合に対応を行うことで長時間の圧分散が可能となるものもあります(各社ホームページ等より引用、一部改変)。

 

①株式会社モルテンの一部製品

・短時間(3時間程度)の停電の場合
 若干空気は抜けるが、静止型の状態で使用可能。

 

・長時間(3時間を超える)停電の場合
 「厚手・静止型」にすることでより長時間の圧分散性を確保することができる。
 さらに、エアホースを折り曲げた状態でテープなどで固定し、空気が抜けることを防ぐとその時間が延長する。
 ※停電復旧後は、必ずエアホースを元の状態に戻すこと。

 

②株式会社ケープの一部製品

電磁弁の採用で、停電時でもマットレスのエア抜けが防止される。利用者(患者)の状態により、1週間程度の期間、内圧を保つことができる。

 

3 停電復旧後の設定について

体圧分散用具の種類によって異なりますが、停電後電源は復活しても、各種設定が停電前のようにならないものもあるため、停電回復後は確認が必要です。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『写真でわかる看護技術 日常ケア場面でのポジショニング』 編著/田中マキ子/2014年8月刊行/ 照林社

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