心肺停止で再来院の患者。気管挿管後、DNARと判明。どうすれば伝達ミスがなくなる?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はDNARに関する伝達ミスを防止するコツについて解説します。

 

徳永里絵
桜橋渡辺未来医療病院 看護部(外来)外来師長/救急看護認定看護師

 

心肺停止で再来院の患者。気管挿管後、DNARと判明。どうすれば伝達ミスがなくなる?

 

DNARに関する情報を「カルテを開いたとき、最初に目に入るところ」に示すといいでしょう。電子カルテでも、紙カルテでも同様です。

 

 

DNAR(蘇生適応除外)に関する情報を、伝達ミスなく伝えるには、カルテで内容確認できるようにするのがベストです。

 

しかし、緊急時に「この患者はDNARなのか」を、たくさんあるカルテ記載のなかから見つけるのは、非常に困難です。そのため「DNARであること」が一目でわかるようにしておく必要があります。

 

伝達ミスをなくすコツ

1 「最初に目に入るところ」に記載する

電子カルテの場合には、入院・外来の区別なく閲覧でき、かつ、カルテを開いたとき最初に目に入るところ、例えば「患者掲示板」のようなところに示します(図1)。

 

図1 患者掲示板と記載例(電子カルテの場合)

患者掲示板と記載例(電子カルテの場合)

 

紙カルテの場合には、表紙やカルテの一番前(または院内で決められている記載欄)に「DNARであること」を記載します。

 

入院カルテと外来カルテが分かれているときには、必ず両方のカルテに記載しておきましょう。

 

2 いつのカルテを確認すれば詳細がわかるかも記載しておく

DNARに関して「いつ誰にどのような話をしたのか」といった内容が、いつのカルテに記載されているかを明確にしなければなりません。

 

「詳細は◯月◯日カルテ参照」と一緒に記載することで、これらの情報もスムーズに把握できます。

 

3 DNARの意思が変更されたときは、すみやかに記載を修正する

DNARの同意を得たとしても、その意思は、患者の治療過程に準じて変化しうるものです。患者・家族から、迷っている発言が認められたときには、意思を再確認するようにしましょう。

 

その結果、DNARの意思が変更された場合、 『「1 最初に目に入るところ」に記載する』で示した場所にある「DNARであること」の記載をすみやかに修正しないと、誤った対応がなされてしまう危険性もあります。

 

DNARに関する話に携わったスタッフが必ず変更する、など、誰が記載を管理するのか、という点も、院内で明確にしましょう。

 

 

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引用・参考文献


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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