普段急変の少ない病棟での急変。応援に来たのは新人だけ…。どうすればいい?
『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は急変の応援に来たのが新人看護師だけだったときの対応について解説します。
宮原聡子
大阪市立総合医療センター 医療安全管理部 主査/集中ケア認定看護師
普段急変の少ない病棟での急変。応援に来たのは新人だけ…。どうすればいい?
自分が中心となり、役割分担を考えて、スタッフを采配するしかありません。新人には応援要請や物品準備を依頼しましょう。
急変患者を発見したら、「まず応援要請」が第一の鉄則です。
たとえ日中の急変でも、多忙な病棟であれば、動けるスタッフがいない(つかまらない)場合も多いことでしょう。応援を要請しても、来てくれた看護師が新人であれば、自分が中心となって采配を考え、行動を起こさなければなりません。
新人看護師にできること
看護師1名は、その場を離れず、急変患者の観察を続ける必要があります。本項のケースでは、新人看護師ではなく、自分が患者の観察を続けることになります。
新人看護師には、救急カートの準備と、他スタッフへの応援要請を依頼します。なお、応援要請時に、医師へ連絡してほしいことを併せて伝えるよう指示しましょう。
新人看護師は、慣れない急変にあわててしまう可能性が高いです。ここは冷静に、「何をしてほしいのか」「どういう内容を伝えるのか」を明確な言葉で指示しなければなりません。
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どの病棟でも急変は起こる
新人だけでなく、先輩看護師ですら、めったに急変に遭遇しない病棟もあります。そのような急変に慣れていない病棟であっても、急変は起こりえます。例えば、慢性期の病棟で「患者が転倒したものの、バイタルサインが安定していたため、そのまま様子を観察していたら、数時間後に意識レベルが低下した」などは、十分に起こりうることです。
急変が発生した場合、どのように行動していいのかわからず、迅速に対応ができないと、患者を重篤化させてしまう危険性があります。それを避けるためには、「どのような連絡系統で行うのか」「スタッフの役割としてどのように動くか」を普段から確認しておくことが必要です。
施設によっては、コードブルーや院内急変対応チームが活動していますので、コードサマリーを確認し、チームを要請するなどうまく活用するのもよいでしょう。
●急変は「急に起こる」からこそ、パニックになりがちです。しかし「本当に予測がつかない急変」は、じつは、それほど多くありません。誰かが前ぶれサ インに気づいていたのに、他のスタッフに伝わっていないことが、ままあります。
●急変発生を「予測していた」場合と、予測なく「不意に発生した」場合とでは、その後の結果が大きく異なります。
●だからこそ、普段の注意深い観察とアセスメント、その結果を共有することが大切なのです。
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引用・参考文献
1)東京医科大学病院看護部 編著:急変・院内救急対応マニュアル.中央法規出版,東京,2013:8‐16,279‐281.
2)佐藤憲明 編著:急変対応のすべてがわかるQ&A.照林社,東京,2011:318‐349.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社