急変発生!受け持ち看護師は、どう動けばいい?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は受け持ち看護師の急変時の動き方について解説します。

 

菅原直子
杏林大学医学部付属病院 看護部 主任/集中ケア認定看護師

 

急変発生!受け持ち看護師は、どう動けばいい?

 

BLSの流れに沿って動きましょう。CPR開始を遅らせないこと、ALSチームが到着するまで質の高いCPRを続けることがポイントです。

 

 

医療チームのメンバーのなかでも、看護師(特に受け持ち看護師)は、患者に接することが多いことから急変の第一発見者になることが少なくありません。

 

患者の異常に気づいたら、まずは患者の反応をみます。反応がなければBLS(一次救命処置)を開始します。つまり、応援を要請し、必要があれば CPR(心肺蘇生)を実施することになります。

 

受け持ち看護師の動き方

1 患者の異変に気づく

直感的に「いつもと違う、何か変?」と感じたら、患者に触れながら呼びかけ、パッとみた最初の数秒で、呼吸・循環・意識の状態を評価します(図1)。

 

この時点で呼びかけに反応しなければ、BLSを開始し、応援要請を行います。

 

図1 発見直後の対応

発見直後の対応

 

2 応援を要請する

急変に気づいたら、1人で対応しようとせず、まず応援を要請することが重要です。また、患者の状態が急激に悪化する可能性があるため、その場を離れないようにしましょう。

 

応援要請を行うときは、ベッドサイドを離れず、大きな声で呼ぶかナースコールを使用します。その際、緊急コールの要請と、蘇生に必要な救急カート、除細動器もしくは AED(自動体外式除細動器)、心電図モニタや自動血圧計、パルスオキシメータの要請を行ってください。

 

患者の状態が超緊急の場合(図2)には、その状況を伝えれば、急変していることがわかります。

 

図2 「超緊急」の状況

「超緊急」の状況

 

この場合は一刻を争うため、CPRの開始を遅らせないことが重要です。急変している事実を伝え、最悪な状況であることを伝えるだけで十分です。

 

3 BLSを開始しCPRを実施する

応援を要請したら、呼吸を確認します。呼吸がない(死戦期呼吸を含む)もしくはわからないときは、胸骨圧迫から CPRを開始します。胸骨圧迫は、ALS(二次救命処置)チームが到着するまで継続してください。

 

なお、BLSは「JRC蘇生ガイドライン2020」に沿って行います

 

4 CPR不要の場合はアセスメントを開始する

CPRの必要がなければ、緊急度を見きわめ、生命にかかわる異常事態が切迫しているかを判断します(図1‐A)。急変の前兆がある場合には、全身の観察を行います。また、心電図モニタや自動血圧計、パルスオキシメータなどを装着し、モニタリングを開始します。

 

患者の状態が急激に悪化している場合、途中で CPRを開始する場合もあります。経時的に観察・評価し、CPRの開始が遅れないようにすることが大切です。

 

5 患者の状態を把握して記録する

急変に直接介入して対応していると、記録している時間がありません。受け持ち看護師の大事な役割は、CPR開始を遅らせないこと、ALSチームが到着するまで質を維持した CPRを続けることです。応援が来て人員が確保されたら、各自の役割を確認しながら動き、記録を開始します。

 

 

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引用・参考文献

1)池上敬一,浅香えみ子 編、日本医療教授システム学会 監修:患者急変対応コースfor Nursesガイドブック.中山書店,東京,2008:49.

2)日本蘇生協議会 監修:JRC蘇生ガイドライン2020.医学書院,東京,2020:51.

3)田村富美子,安田英美:看護師だけで急変対応を行うときの「役割分担」と「具体的な動きかた」.月刊ナーシング 2013;33(6):70‐75.

4)服部潤:すぐに動ける! CPRのポイント.エキスパートナース2016;32(5):14‐16.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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