手術室で患者が急変。どう対応すればいい?
『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は手術室で患者が急変した際の対応について解説します。
小林英貴
千葉県総合救急災害医療センター 救急外来・手術室主任/救急看護認定看護師
手術室で患者が急変。どう対応すればいい?
器械出し看護師は急変対応、外回り看護師は全体的なコーディネートを中心に行います。
手術中は、患者の全身管理を行う麻酔科医と執刀医・第1~第3助手が手術状況をコントロールし、器械出し(直接介助)看護師と外回り(間接介助)看護師が介助にあたります。
手術室での急変では、手術の進行状況によって誰がリーダーとなって判断・指示し、診療科の領域を超えて進言・決断するかが大きな問題となります。
手術室での急変対応には特殊な問題があります(表1)。施設ごとの基準やマニュアルを作成し、シミュレーションなどのトレーニングを行っておくことを推奨します。
手術室での急変対応
まずは応援要請を行い、除細動器などをセットします。
手術を中断できる場合は、最も近い医師が胸骨圧迫を行います。中断できるところ(止血など)まで手術を進める場合は、第2または第3助手が胸骨圧迫を行います。
1 器械出し看護師の役割
手術を継続する場合は手術介助にあたります。
手術中断時には、術野をドレープなどで覆って清潔保持をした後、胸骨圧迫の交代要員となります。
除細動が必要な場合は、パドルを当てる位置まで、ドレープをはがして実施します。この際、清潔野の維持が必要です。ドレープの下に潜り込むなど、盲目的な除細動は避けましょう。なお、開胸術や開心術時には、滅菌された専用パドル(心内パドル)を使用します(図1)。
2 外回り看護師の役割
時間経過を追い、指示系統を守りながら主に麻酔科医と綿密に連携し、薬剤・輸液・輸血投与や検査など、他部門との調整を行います。
リーダーが決定せず、判断や指示が明確でない場合は、中間的な折衝を受けもち、建設的な介入によって効率的な決定と処置進行の円滑化を調整します。
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引用・参考文献
1)日本手術医学会:手術医療の実践ガイドライン(改訂版).手術医学 2013;35(Suppl):S1‐S148.
2)北川裕利:心停止.オペナーシング 2005;20(7):676‐680.
3)日本麻酔科学会,日本輸血・細胞治療学会:危機的出血への対応ガイドライン.[2018.7.2アクセス]
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社