病室の床に患者が倒れている!対応は、ベッドに戻してから?それとも、その場で?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載。一部改変。
今回は病室の床に患者が倒れていた時の対応について解説します。

 

濱本実也
公立陶生病院 集中治療室 看護師長/集中ケア認定看護師

 

病室の床に患者が倒れている!対応は、ベッドに戻してから?それとも、その場で?

 

まずはその場で対応します。ベッドへ戻すのは、患者の状況を確認・把握した後です。ショック徴候や脊髄損傷の可能性があるときは、必ず応援を要請しましょう。

 

 

患者の状態を確認せずにベッドへ移動させることは、以下の2つの理由から避けるべきです。

 

①即時対応が求められる事態(心肺停止など)において、ベッド移動に時間をとられ、対応が遅れる可能性があること
②安易な移動により、患者の状態を悪化させる可能性があること

 

対応の実際

倒れている患者を発見したら、まずはその場で意識呼吸循環を確認します(図1)。

 

図1 対応の手順

対応の手順

 

1 患者の意識がない場合

患者の意識がない(あるいは意識レベル低下などの異常を認める)場合は、すみやかに応援を呼びましょう。呼吸脈拍がない場合は心肺停止と判断し、ただちに心肺蘇生を開始しなければなりません。

 

呼吸や脈拍が確認できても、ショック徴候を認めた場合は、患者を動かさず、その場で応援を呼びましょう。無理に患者を動かすと、ショックを助長したり、倒れる原因となった病態(あるいは症状)を悪化させたりする可能性があります。

 

2 患者の意識がある場合

患者の意識がある場合は、倒れたときの状況や、外傷の有無を確認します。

 

少しでも脊髄損傷につながる可能性がある場合(ベッドからの転落、首を強く打った場合など)には、患者の脊椎に力がかからないよう十分に注意し、複数のスタッフでベッドに移動させるのが望ましいでしょう。

 

移動に痛みを伴う場合(骨折や打撲など)には、損傷部位を保護して痛みを増強させないよう配慮し、出血を伴う場合は圧迫止血を行った後、ベッドへ移動します。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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