夜間の急変。当直医に連絡しても、一向に来てくれない。どう伝えれば来てくれる?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は夜間急変時の当直医への連絡について解説します。

 

日高志州
ゆずりは訪問診療所 訪問看護ステーション/救急看護認定看護師

 

夜間の急変。当直医に連絡しても、一向に来てくれない。どう伝えれば来てくれる?

 

「患者の生命が危機状態にある」ことをはっきり伝えましょう。急変サイン、主病名、急変の原因として考えられることを端的に述べ、診察を強く依頼します。

 

 

夜間の急変発生時、看護師は気が動転しており、まとまりのない報告になりがちです。

 

状況がうまく伝わらないと、医師が患者の状態を過小評価して「経過観察」の指示しか出さないなど、解釈に乖離(かいり)が生まれかねません。では、どう伝えたらいいのでしょうか?

 

「緊急事態だ」と伝える

緊急で当直医に電話するのは、以下のような場面です。

① A(気道)、B(呼吸)、C(循環)、D(意識)、E(外表・体温)の変調
②疼痛など強い症状の出現

 

この場合、報告の切り口は、「○○病棟の看護師○○です」と名乗った後、「呼吸が止まりそうな患者がいます」「ショックの患者がいます」と急変のサインを強調し、「すぐ来てください」と診察依頼の連絡であることを強調して伝えます。

 

特に、緊急時の電話報告では、SBAR(エスバー、I-SBAR-C〈アイエスバーシー〉)の「S(situation:状況)」と「B(background:背景や臨床経過)は、主病名急変の原因となりうる情報にとどめ、入院後の状態を時系列で長々と言わないことがポイントです。

 

細かい説明は、医師が来室したときに簡潔に伝えられるよう、カルテを開いておけばいいのです。

 

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過大評価を恐れない

看護師にとって「怖い」医師であればあるほど、最初に「お時間よろしいでしょうか」など、前置きをして機嫌を伺ってしまいがちです。配慮する気持ちも必要ですが、緊急性を伝えるため「優先順位はこちらが高い」ということを伝えなければいけません。

 

医師の叱責を恐れるあまり、言葉が詰まったり、報告が遅れたり、現状に焦ってとりとめのない報告をしてしまいがちですが、「患者の生命が危機状態にある」ことを意識して、過大評価を恐れず、伝えるべきことははっきり伝えることが大切です。

 

ワンポイント

●当直医にドクターコールをする際は「当直医は、主治医と違って、その患者に関する情報をもっていない」ことを常に念頭に置きましょう。

 

●ドクターコールを受けた当直医は、報告を聞きながら「自分は、何を求められているのか」「蘇生は必要か」「どんな診察・処置、検査を行うか」「治療方針・家族への情報提供の状況はどうか」「主治医・担当医にどう報告するか」といったことを考えています。

 

●だからこそ「○○してもらえませんか?」「○○の恐れがあると思います」「○○しておきますか?」など、看護師が情報を整理し、自分の判断を伝えることが大切なのです。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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