心肺蘇生時、アドレナリン投与後に、なぜ「3分の時間計測」を行うの?
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『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はアドレナリン投与後の「3分の時間計測」について解説します。
又吉 努
琉球大学病院 ICU 副看護師長/救急看護認定看護師
心肺蘇生時、アドレナリン投与後に、なぜ「3分の時間計測」を行うの?
心拍が再開しない場合、3~5分後に、アドレナリンを再投与するためです。
心肺蘇生時には、さまざまな種類の薬剤を使用しますが、第一選択薬として用いるのはアドレナリン(エピネフリンともいう)です。
アドレナリンは、αおよびβ受容体を刺激するカテコールアミンです。
アドレナリンの薬理効果は、以下の2つです。
①α1受容体を刺激して、心臓・脳以外の臓器・末梢組織への血流を減らし、胸骨圧迫によって心臓から出される血液を、冠動脈と脳に優位に分布させる
②β1受容体を刺激して、心収縮力増強と心拍数増加作用を示し、心拍出量を増大させる
アドレナリンは反復投与
1 アドレナリンの半減期は短い
アドレナリンの半減期(血中濃度が半分になること)は3~5分と短いのが特徴です。
そのため、心拍が再開するまで、アドレナリン1mgを3~5分間隔で静脈内に反復投与する必要があります。
2 リズムチェックは2分ごと、アドレナリン投与は4分ごと
AHAのガイドライン1)では、心拍再開の評価として、リズムチェック(脈拍の触知)を2分ごとに行うよう定めています。
このとき、アドレナリン投与間隔は3~5分であるため、リズムチェックと交互に投与すると時間管理が難しくなります。そのため「アドレナリン投与を4分ごと」にすると管理しやすくなります。
●アドレナリンは、気管チューブを介して投与することもできます。
●静脈路が確保されていないものの、気管挿管あるいは気管切開がなされていたら、静脈投与時の2~2.5倍量を生理食塩液10mLで希釈して、気管チューブから投与します。
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引用・参考文献
1)American Heart Association:心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン2015ハイライト.シナジー,東京,2015:14.
2)日本蘇生協議会 編:JRC蘇生ガイドライン2015.医学書院,東京,2016.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社