環境設定を行う前に医師が気管挿管を指示。先にスペース確保をしなくていいの?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載。一部改変。
今回は気管挿管における環境設定について解説します。

 

吉崎秀和
北海道医療センター統括診療部 救命救急部救急科 診療看護師

 

環境設定を行う前に医師が気管挿管を指示。
先にスペース確保をしなくていいの?

 

「気管挿管可能」と医師が判断したのなら、ベッド移動は気管挿管後でかまいません。患者の状態に合わせ、予測して動くことが大切です。

 

 

急変時、マンパワー確保は大変重要です。しかし、臨床で出合う急変の場面では、過剰人員によって看護師の行動が重複し、動きにくさを感じることも少なくありません。

 

司令塔となる医師が、過剰となった人員を調整してくれればいいのですが、医師が複数いる場合など、同時に複数の指示が出され、看護師が戸惑うこともあります。

 

優先順位を理解する

急変の状況にもよりますが、例えば、呼吸が停止しそうな患者に対して「気道確保+補助換気より静脈路確保を優先で実施」と指示を出す医師はいないはずです(同時進行で行う場合はあります)。

 

気管挿管を行うためには、喉頭展開を行わなければならないので、医師は患者の頭側に立つ必要があります。その状況下で医師が気管挿管可能と判断したのであれば、ベッド移動より気管挿管を優先すべきです。必要な処置スペースの確保は、気管挿管を行った後に行えばよいでしょう。

 

ただし、医師が患者の頭側に立てない場合など、気管挿管が必要なのにできない状況であれば、まず、気管挿管を行うスペースの確保が優先されます(図1)。

 

図1 スペース確保の実際(狭い病室の例)

スペース確保の実際(狭い病室の例)

 

 

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役割分担は重要

急変といっても状況はさまざまですが、患者の状態から必要とされる対応を予測して行動できることは、看護師として重要なスキルの1つです。

 

急変時、看護師は、経時記録や処置介助、医材準備、処置スペース確保、主治医や家族への連絡など、迅速に対応しなければなりません。

 

招集した人員を役割分担して、必要な人数だけ配置する(残す)ことを意識すると、動線はかなりスムーズになると思われます。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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