AEDパッド装着部位に貼付薬が…。はがすべき?そのままでいい?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載。一部改変。
今回はAEDパッド装着部位の貼付薬への対応について解説します。

 

宮腰龍弥
東京女子医科大学付属足立医療センター 救命ICU/救急看護認定看護師

 

AEDパッド装着部位に貼付薬が…。はがすべき?そのままでいい?

 

AEDを使用するときには、貼付薬は、はがします。

 

 

患者が心停止に陥り、AED(自動体外式除細動器)を使用する際、一刻も早くパッドを貼らなければ、と焦ることでしょう。

 

確かに、早期除細動は救命のカギです。しかし、効果的な除細動には、気をつけるべきことがあります。パッドの装着も、ポイントの1つです。

 

パッドは皮膚に直接貼る

1 皮膚に密着させないと効果が得られない

急変対応の学習に欠かせないAHAのガイドライン1)には「貼付薬の上にAEDパッドを貼り付けない」と記載されています。

 

貼付薬をつけたままパッドを貼ると、パッドと皮膚がしっかり密着しないため、効果的な除細動が行えません。これでは、AEDを装着した意味がなくなってしまいます。

 

2 貼付薬をはがさないと熱傷が生じうる

貼付薬の上からパッドを貼って除細動を行うと、熱傷が生じる可能性があります。貼付薬の添付文書には「AEDの妨げにならないように貼付部位を考慮するなど、患者・家族等に指導することが望ましい」と記載されています。

 

特に、心疾患治療に用いる貼付薬(ニトログリセリンテープやフランドル®テープなど)の場合、AED使用を考慮し、添付文書で注意喚起がなされています。

 

 

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最優先は患者の救命

鎮痛薬が貼付されている場合「はがすと救命後に痛みが出るのでは...」と心配になるかもしれません。しかし、心停止とは、痛みの除去より、救う命を優先すべき状況です。貼付薬ははがし、タオルなどで軽く拭いてから、パッドを貼り、患者の救命に全力を注ぎます(図1)。

 

図1 貼付薬がある場合の対応

貼付薬がある場合の対応

 

貼付薬を再度使用するかなどは、心拍再開後、全身状態が安定してから、医師に確認するとよいでしょう。

 

 

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引用・参考文献

1)American Heart Association:BLSプロバイダーマニュアルAHAガイドライン2015準拠.シナジー,東京,2016:39.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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