ペースメーカ植込み患者が心停止。AEDは使うべき?パッドはどう貼ればいい?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はペースメーカ植込み患者の心停止時のAEDとパッドの使用について解説します。

 

山本宏一
国立病院機構 災害医療センター 救命救急病棟 副看護師長/救急看護認定看護師

 

ペースメーカ植込み患者が心停止。AEDは使うべき?パッドはどう貼ればいい?

 

迷わず、AEDを使いましょう。
パッドは、ペースメーカ本体(膨らみ部分)を避けて装着します。

 

 

ペースメーカは、刺激電動系の障害で起こる徐脈の治療で使用されます。刺激伝導系の機能を補い、必要に応じた脈拍数を維持するための機器です。あくまで「刺激伝導系に電気信号を送るだけ」の機器であり、心停止時に十分な血液を送り出すことはできません。

 

ペースメーカ植込み患者であっても、心停止と認識した場合、応援を呼び、BLS(一次救命処置:質の高い胸骨圧迫と人工呼吸、早期除細動など)からALS(二次救命処置)へつなげられるようにすることが重要です。

 

 

BLSは必須

心停止には、VF(心室細動)、pVT(無脈性心室頻拍)、心静止(asystole)、PEA(無脈性電気活動)が含まれます。心電図モニタ装着中ならモニタ波形を確認しながら、すみやかにBLSを行う必要があります。

 

心停止の原因がVFpVTであれば、救命率からみても早期除細動が必須となるため、迷わずAED(自動体外式除細動器)を使用すべきです(くわしくは「AEDと心電図モニタが同時に到着。どちらを優先させるべき?」)。

 

 

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パッドは8cm以上離す

ペースメーカ植込み患者にAED(自動体外式除細動器)を用いる場合、パッドは、ペースメーカ本体(膨らみ部分)を避けて貼りましょう(図1)。

 

図1 ペースメーカとパッドの距離

ペースメーカとパッドの距離

 

ガイドラインには「パッドをペースメーカ本体より少なくとも8cm離すことで、ペースメーカによるセンシングや心室捕捉に明らかな支障はなかった」1)という研究結果が紹介されています。

 

 

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引用・参考文献

1)日本蘇生協議会 監修:JRC 蘇生ガイドライン 2015.医学書院,東京,2016:89.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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