AEDと心電図モニタが同時に到着。どちらを優先させるべき?

『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はAEDと心電図モニタのどちらを優先させるかについて解説します。

 

古堅 健
中頭病院 救急診療部 主任/救急看護認定看護師

 

AEDと心電図モニタが同時に到着。どちらを優先させるべき?

 

AEDが優先です。
AEDの成功率は、時間の経過とともに下がるためです。

 

 

VF(心室細動)やpVT(無脈性心室頻拍)を起こすと、3~5秒で意識が消失し、呼吸が停止します。その際、迅速にCPR(心肺蘇生)、すなわち胸骨圧迫・人工呼吸を開始すると、低酸素によるへの障害を遅延させることができます。

 

しかし、CPRだけでは、VFや pVTの状態から回復させることができません。けいれんしている心臓のリズムを正常な状態に戻すには、AED(自動体外式除細動器)を早期に用いて心臓に電気的ショックを加えることが不可欠です。

 

早期除細動は救命のカギ

CPA(心肺停止)時の心臓のリズムは、VF・pVTが多いです(図1)。この2つに対する適切な対処法はAEDによる除細動です。

 

図1 AEDの適応となる波形

AEDの適応となる波形

 

時間の経過とともに、除細動の成功率はどんどん低下します。除細動の実施が1分遅れると、約7~10%の割合で成功率が低下するといわれます(図21)。蘇生および社会復帰のためには、心肺停止後、早期にAEDを使うことが重要です。

 

図2 迅速な除細動による救命の可能性

迅速な除細動による救命の可能性

 

また、VFが持続するのは数分間にすぎません。つまり、早期に AEDによる除細動を開始しないと、除細動が無効な心静止に至ってしまうのです(図3)。

 

図3 心静止(AEDが無効)

心静止(AEDが無効)

 

早期除細動の必要性を考えると、心電図モニタよりAEDが優先です。

 

 

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引用・参考文献

1)Larson MP,Eisenberg MS,Cummins RO,et al.Predicting survival fromout-of-hospital cardiac arrest:a graphic model.Ann Emerg Med 1993;22:1652-1658.


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社

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