急変発見。その後、どう動く?
『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は急変対応の基本的な流れについて解説します。
道又元裕
Critical Care Research Institute(CCRI)
急変は、時刻、場所、人的体制、患者構成など、シチュエーションを選ばず発生します。
急変に陥った患者にとって、生命にかかわる究極の状態は心肺停止です。つまり、心肺停止の状態にどのように対応するかが救命の鍵になります。
原理原則に則(のっと)って臨機応変に対応
1 急変対応の原理原則とは
心肺停止か明らかではないけれど、様子がおかしい患者が座っている、横たわっている、倒れている…。
いずれの状態においても、看護師は、自らが置かれた環境が安全か否かを確認したうえで、患者(傷病者)の生命反応を確認することが必要です。
つまり、自らの安全確保を優先しつつ、患者が心肺停止状態である可能性を前提に、バイタルサインを確認(呼吸の有無と脈拍の確認)し、現実的に可能な方法を用いて応援要請することが基本です。
2 基本に沿いつつ、臨機応変に対応を
しかし、急変の場面では救命活動のためのすべての条件が整っていない場合もあり、しばし迷ってしまうこともあります。とはいえ、どんなときでも原理原則──究極的にはBLS(一次救命処置)とALS(二次救命処置)──を遵守することが鉄則です(図1) 。
ここでは、急変の場面でしばしば浮上する変則的な場面での動き方や、実際に対応を行ったときに生じた「あれ? こんな場合には、どう対応すべき?」という事象を取り上げて解説します。
もちろん、各項目において各執筆者が解説した内容がすべてではありません。それ以外にも、実際の場面では、さまざまな考え方と方法があるでしょう。しかし、ここで述べられた多くの細やかな内容が、実践で参考になるはずです。
●急変対応を学ぶ際、混乱しがちな要因として「ガイドラインが2種類あり、どちらに沿って実践すればいいのかわかりづらい」という点が挙げられます。
日本蘇生協議会による「JRC蘇生ガイドライン」と、アメリカ心臓協会による「AHA蘇生ガイドライン」の2種類のことです。
●JRC蘇生ガイドラインも、AHA蘇生ガイドラインも、どちらも国際蘇生連絡委員会のコンセンサスに沿ってつくられているため、内容に大きな違いはありません。そのため、究極的には「どちらに沿って行ってもよい」と考えて差し支えありません。
●JRC蘇生ガイドラインとAHA蘇生ガイドラインの違いは、日本とアメリカにおける国内事情や、想定される患者の体格の違いによって生じています。そのため、原則としてJRC蘇生ガイドラインに沿って行えば問題はありません。しかし、AHA蘇生ガイドラインに沿って行うのは間違いだ」と考える必要もない、といえます。
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社