せつ、よう|細菌感染症③

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回はせつ、ようについて解説します。

 

池田政身
高松赤十字病院皮膚科

 

 

Minimum Essentials

1黄色ブドウ球菌が毛包に感染し、深在性感染症となったものがせつで、隣接する毛包に多発するとようとよばれる。

2毛包に膿栓を形成し、有痛性の腫脹を伴い、次第に膿瘍となる。

3切開・排膿を行い、原因菌に感受性のある抗菌薬の全身投与を行う。

4治療後1週間ほどで排膿が止まり、腫脹も軽快する。

 

せつ、ようとは

定義・概念

せつとは毛包に起炎菌が感染し、毛包周囲の結合組織や脂腺に化膿性炎症が波及したものである。いわゆる「おでき」のことであり、隣接する毛包に多発した場合、ようとよばれる1)

 

原因・病態

おもな起炎菌は黄色ブドウ球菌である。毛包の深いところまで炎症が広がり、膿瘍を形成し、毛包周囲にも発赤、腫脹が及ぶ。

 

 

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診断へのアプローチ

臨床症状・臨床所見

毛包一致性の膿栓、膿瘍を形成し、周囲に圧痛、発赤、腫脹を伴う(図1)。

 

図1 前腕のせつ

前腕のせつ

 

ようの場合、隣接する複数の毛包に同時に病変が形成され(図2)、発熱や全身倦怠感などの全身症状を伴うことがある。

 

図2 下顎のよう

下顎のよう

 

検査

膿汁からの細菌培養で黄色ブドウ球菌が検出される。ようでは白血球数増多やCRP値上昇がみられることがある。基礎疾患の検索のため、末梢血液像、肝機能、腎機能、血糖値、検尿などの検査を行う。

 

 

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治療ならびに看護の役割

治療

おもな治療法

膿瘍を形成している場合は切開排膿を行い、セフェム系、ペネム系、ニューキノロン系抗菌薬の内服を行うが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の場合はホスホマイシンの併用や、バンコマイシンなどの抗MRSA薬の点滴を行う。

 

合併症とその治療法

糖尿病HIV感染症などの基礎疾患がある場合があり、合わせて十分な精査加療を行う。

 

治療経過・期間の見通しと予後

1週間前後で軽快し、予後は良好であるが、MRSAが原因の場合は治療に難渋することがある。

 

看護の役割

治療における看護

患部の冷却を行うことで痛みが軽減するようにし、安静を保つ。排膿しているときは石鹸と流水を用いて洗浄し、ガーゼと包帯で被覆する。

 

 

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引用・参考文献

1)梅林芳弘:せつ,よう,炎症性粉瘤.逃げない!攻める!皮膚科救急テキスト(出光俊郎編),p.89-93,文光堂,東京,2017


 

本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

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