妊娠末期の胎児発育の観察と評価

『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は妊娠末期の胎児発育の観察と評価について解説します。

 

立岡和弘
静岡市立清水病院産婦人科長

 

 

妊娠末期の胎児発育の観察と評価

超音波検査により、胎児発育の評価や胎児付属物(胎盤、臍帯、羊水)のチェックを行う。産道の異常や児頭骨盤不適合が疑われる場合には、児頭の大横径(BPD)を測定する。

 

胎児のwell-being(胎児の状態が良好であること)の評価には、バイオフィジカルプロフィールスコア(BPS)や胎児胎盤機能検査を行う。BPS は、分娩監視装置と超音波検査のみで行える非侵襲的検査法である。

 

 

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BPSの観察項目と採点法

20~40分間の胎児心拍数陣痛計(分娩監視装置)によるノンストレステスト(NST)(観察項目①)と、30分間の超音波検査による胎児観察(観察項目②〜⑤)により10点満点で評価する。

 

〈観察項目〉

ノンストレステスト
・20~40分間に胎動を伴う胎児一過性頻脈(15bpm以上、15秒以上)が2回以上ある場合は2点
・20~40分間に上記の基準胎児一過性頻脈がないか、1回の場合は0点

 

30分間の超音波検査による胎児観察

〈観察項目〉

胎児呼吸運動
・30秒以上の呼吸様運動が1回以上認められる場合は2点
・30秒以下の呼吸様運動の場合は0点

 

胎動
・3回以上の胎動がある場合は2点
・2回以下の胎動の場合は0点

 

胎児トーヌス
・1回以上の四肢の伸展屈曲運動が認められる場合は2点
・上記運動が認められない場合は0点

 

羊水量
・垂直断面で2cm 以上の羊水ポケットを認める場合は2点
・垂直断面で2cm 未満の羊水ポケットの場合は0点

 

 

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BPSによる評価

バイオフィジカルプロフィールスコア(BPS)を用いた胎児のwell-beingを表1に示した。

 

胎児の低酸素症(hypoxemia)や酸血症(acidemia)の進行により、一過性頻脈→呼吸様運動→胎動→筋緊張の順に減少消失する。

 

表1 BPSの解釈と指針

BPS の解釈と指針

(Manning. FA, et al.: Am J OBstet Gynecol, 57: 880-4, 1987)

 

 

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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版

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