妊娠週数の数え方

『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は妊娠週数の数え方について解説します。

 

立岡弓子
滋賀医科大学医学部看護学科教授

 

 

妊娠週数の数え方

妊娠週数は、最終月経の開始日を妊娠0週0日として数え、280日目(妊娠40週0日)を分娩予定日とする。

 

最終月経からの算出法

①ネーゲレ(Naegele)概算法

月経周期が28~30日で、規則正しい場合に用いることができる。最終月経の月に9を加え(9を加えて13以上になる場合には、最終月経月から3を引く)、最終月経初日に7を加えることで、分娩予定日を計算する。

 

②妊娠暦(岡林式)・電卓妊娠暦の速算器

最終月経日第1日から280日目(妊娠40週0日)を分娩予定日とする。
・最終月経日などを入力することにより、分娩予定日を算出することができる(図1排卵日、現在の妊娠週数を入力しても可能)。
・分娩予定日を入力すると、現在の妊娠週数が計算されるため、妊婦健診外来などで活用されている。
・胎児の大きさ(GS、CRL、BPD、FL)を入力することにより、推定妊娠週数も計算できる。

 

図1 電卓妊娠暦の速算器(TOITU:PREGNO-COM PG310)

電卓妊娠暦の速算器(TOITU:PREGNO-COM PG310)

 

memo

GS:胎嚢(gestational sac)
CRL:頭殿長(crowm rump length)
BPD:大横径(biparietal diameter)
FL:大腿骨長(femur length)
AC:腹部周囲長(abdominal circumference)

 

Column

ネーゲレ概算法での妊娠週数の数え方

最終月経の開始が11月1日で、月経週数が30日の場合
 11月-3月=8月
 1日+7日=8日
 分娩予定日:8月8日


最終月経の開始が3月27日で、月経周期が28日の場合
 3月+9月=12月
 27日+7日=34日
 12月は31日までであるため、31日+3日
 分娩予定日:1月3日

 

③基礎体温法からの算出法

基礎体温の正確な記録があり、排卵日前後の記録があるときは、排卵日を妊娠2週0日として妊娠週数を数える。

 

基礎体温は、月経周期により低温相と高温相の2相性になる(図2)。妊娠が成立すると基礎体温が上昇し、高温相が持続する。

 

低温相と高温相は36.5℃を基本に分けるが、個人差がある。低温相と高温相の体温差は、0.3~0.5℃である。

 

図2 基礎体温の変化

基礎体温の変化

A:基礎体温の陥落日(最低体温日)
B:排卵日、低温相の最終日を排卵日と定義しており、この日を2週0日として、分娩予定日を算出できる。
C:高温相初日
*実際の排卵は、A20%、B60%、C20%といわれている。

 

 

超音波断層法の測定値からの算出法

胎嚢の直径や胎児の頭殿長(CRL、図3)、大横径(BPD、図4)、大腿骨長(FL、図5)、腹部周囲長(AC、図6)を測ることで妊娠週数を確認する。

 

図3 頭殿長(CRL)と無月経日数の関係

頭殿長と無月経日数の関係

(名取道也、竹内久彌、赤松信雄ほか:超音波医学、(27)、p.435、2000)

 

図4 日本人胎児 大横径(BPD)の標準発育曲線

日本人胎児 BPDの標準発育曲線

(高橋克幸、武谷雄二監:助産師・看護師のための超音波画像診断、p.191、南江堂、2002)

 

図5 日本人胎児 大腿骨長(FL)の標準発育曲線

日本人胎児 FLの標準発育曲線

(高橋克幸、武谷雄二監:助産師・看護師のための超音波画像診断、p.193、南江堂、2002)

 

図6 日本人胎児 腹部周囲長(AC)の標準発育曲線

日本人胎児 ACの標準発育曲線

(高橋克幸、武谷雄二監:助産師・看護師のための超音波画像診断、p.192、南江堂、2002)

 

妊娠週数とCRL

妊娠初期による超音波診断から妊娠週数を算出する場合には、CRL(12週まで、表1)を用いる(妊娠13週からは、BPDから算出する)。

 

表1 妊娠週数とCRL

妊娠週数とCRL

(日本超音波医学会 胎児計測標準化小委員会、2000)
50%ile(中央値)を基準としている。
5%ileは-1.5SD、10%ileは-1SD、90%ileは+1SD、95%ileは+1.5SDを示すが、妊娠初期の診断には50%ileのみを使用している。

 

最終月経も排卵日もわからず、妊娠週数を算出する場合に、超音波でCRLを測定してから現在の妊娠週数を決め、分娩予定日を設定している。

 

たとえば、初診で超音波診断した女性の妊娠子宮内のCRLが20.0mmであった場合には、検査した日を妊娠9週0日と決め、分娩予定日を算出する。

 

Column

妊娠・分娩回数の数え方

2018年から妊娠・分娩回数の数え方が統一された。

 

①妊娠回数の数え方

現在の妊娠を妊娠回数に算入する。「〇妊〇産」と表現し、「経」の文字は使用しない。または「G〇P〇」と表現する。

 

②分娩回数の数え方

妊娠満22週に達した後に娩出したものを分娩回数に算入する。

 

③多胎の妊娠・分娩回数の数え方

何人の児が産まれようとも、それらが多胎妊娠であれば、妊娠回数は「1」、分娩回数も「1」である。
たとえば、
・初めて妊娠した女性が正期産児を出産した:G1P0
・2年前妊娠19週で流産を経験した女性が、2回目の妊娠で妊娠32週の早産であった:G2P0
・4年前に正期産児を出産した女性が、今回2回目の妊娠で双胎であり、妊娠37週で経腟分娩した:G2P1

 

 

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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版

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