髄膜腫
『本当に大切なことが1冊でわかる脳神経』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は髄膜腫の検査・治療・看護について解説します。
市川智代
東海大学医学部付属八王子病院看護部副主任
髄膜腫とは?
成人女性に好発し、原発性脳腫瘍の約25%を占めます。脳を覆う髄膜に発生し、ほとんどが良性の腫瘍です(図1、図2、図3)。
脳実質の外側から脳を圧迫しながら発育するため、ある程度腫瘍が大きくなってから初発症状が現れることが多いです。
良性腫瘍の場合、予後は良好です。腫瘍を全摘出できれば、多くは治癒できます。
発見されても小さい腫瘍は経過観察することが多く、経過中に増大すれば手術を検討します。
まれに再発を繰り返します。
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患者さんはどんな状態?
運動麻痺や視力障害などの脳神経圧迫症状、頭蓋内圧亢進症状(頭痛、嘔気)、けいれんなどがみられます。
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どんな検査をして診断する?
MRI検査(図4)、CT検査(図5)、脳血管造影、X線検査など、画像検査が中心です。MRI検査では、硬膜に接して強い造影効果を示す腫瘤として抽出されます。
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どんな治療を行う?
大部分が良性であるため、小さい腫瘍は経過観察となります。大きい腫瘍は外科的治療による全摘出をめざします。
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看護師は何に注意する?
術後はバイタルサインや神経所見の観察を行い、脳浮腫による頭痛や嘔吐、けいれんの症状に注意します。
術後はバイタルサインに注意しながら早期離床を行い、ADLの維持や向上への介入を行います。
腫瘍が取りきれない場合は放射線治療を検討することがあり、患者さんの理解度や不安点について確認します。
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 脳神経」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 脳神経』 編集/東海大学医学部付属八王子病院看護部/2020年4月刊行/ 照林社