心筋疾患の分類
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は心筋疾患の分類について解説します。
小野木晃
新東京病院看護部
〈目次〉
心筋疾患はどんな疾患?
心筋疾患とは、心筋に構造的異常をきたし、心臓のポンプ機能の低下を認める疾患の総称です。突発性心筋症と特定心筋症に分類することができます。心筋疾患の代表的なものに、肥大型心筋症(HCM)、拡張型心筋症(DCM)があります(図1)。
図1正常な心臓と心筋疾患
疾患理解のポイント
心筋の病気で、心筋が肥大したり線維化したりすることにより、心機能障害が生じる疾患です。心臓のポンプ機能が低下しているため、心不全に至ることを念頭におきましょう。
治療のポイント
突然死を防ぐ治療が実施されます。また、治療は一般的な心不全の治療と同じになります。
看護のポイント
患者さんの心機能の状態に合わせた援助が必要になります。心負荷がかからないような生活援助を考えましょう。不整脈が出現しやすいため、注意が必要です。
どうやって分類するの?
心筋症は特発性心筋症と特定心筋症に分類することができます(表1)。
特発性心筋症とは、高血圧や冠動脈疾患など明らかな原因がない心筋疾患の総称です。いわゆる原因不明の心筋疾患です。しかし、近年の遺伝学進歩により、次々と心筋症の病因遺伝子異常が同定されてきています。
特定心筋症とは、原因または全身疾患との関連が明らかな心筋疾患の総称です。
★1 肥大型心筋症(HCM)(近日公開)
★2 拡張型心筋症(DCM)(近日公開)
※1 拘束型心筋症(RCM)
※2 不整脈原性右室心筋症(ARVC)
ヨーロッパ心臓病学会(ESC)の分類(2008年)では、すべての病型を、形態的・機能的特徴によって5つに分け、それぞれを遺伝性・非遺伝性に分類しています(図2)。
[memo]
- ※1 拘束型心筋症(RCM)(上へ戻る↑)
左室心筋が線維化して硬化、左心室の拡張機能障害が生じる疾患。心肥大は伴わず、収縮機能は正常である。
- ※2 不整脈原性右室心筋症(ARVC)(上へ戻る↑)
右心室の拡大と機能低下、右室起源の心室不整脈が生じる疾患。若年者の突然死の原因となる。
文献
- 1)伊藤文代編:循環器看護ケアマニュアル 第2版.中山書店,東京,2013.
- 2)医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.2 循環器 第4版.メディックメディア,東京,2017.
- 3)日本循環器学会:拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドライン.(2019.09.01アクセス)
- 4)日本循環器学会:肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版).(2019.09.01アクセス)
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
書籍「本当に大切なことが1冊でわかる 循環器」のより詳しい特徴、おすすめポイントはこちら。
[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社