粉状皮膚保護剤はどのような時に使用するの?

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、粉状皮膚保護剤について解説します。

 

粉状皮膚保護剤はどのような時に使用するの?

 

基本的にはストーマとストーマ装具に間隙がある場合に,露出した皮膚を保護するために使用します.
また装具装着部位に,滲出液のあるびらんなどの皮膚障害がある場合には,装具の密着性を高めるために粉状皮膚保護剤を付着する程度に散布して装具を装着します.

 

解説

ストーマ装具の穴あけは,通常ストーマサイズより片側1.5~2mm程度大きくします.この程度であれば排泄物が面板にもぐりこむことは少ないのですが,ストーマの浮腫,ストーマ旁ヘルニア,ストーマ脱出などの合併症で大きめに穴あけする場合には,ストーマと装具の間に間隙ができます.このような時は排泄物が皮膚に付着して皮膚障害を起こす可能性が高くなります.この間隙に粉状皮膚保護剤を散布することで,露出した皮膚を保護できます.

 

ただし,粉状皮膚保護剤は親水性ポリマーのみでできています.排泄物やストーマ粘膜に触れているとゲル化し,一定以上の排泄物にさらされると皮膚にとどまることができず流れてしまうので,適宜追加する必要があります.つまり尿や水様性の排便の場合には,粉状皮膚保護剤のゲル化が早いため適さないといえます.

 

また,びらんなど滲出液などがある皮膚には装具の粘着性が低下するため排泄物の漏れの原因になり,結果的に皮膚障害が悪化する可能性があります.このような場合には,装具装着の前に粉状皮膚保護剤をびらん部に散布して装具装着すると,親水性ポリマーの保水作用で装具の密着性を高めることができます.注意点は,粉状皮膚保護剤を多量に使用しすぎると装具の粘着力が低下するので,散布した後に少し払うようにしてびらん部に付着する程度の量を使用することです(図1).

 

図1粉状皮膚保護剤をすきまに散布

粉状皮膚保護剤をすきまに散布

 


[参考文献]

 

  • 1)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編.ストーマリハビリテーション 実践と理論.金原出版,2006.
  • 2)日本ET/WOC協会編.ストーマケア エキスパートの実践と技術.照林社,2007.
  • 3)日本ストーマリハビリテーション学会編.ストーマリハビリテーション学用語集.第2 版.金原出版,2003.

 


[Profile]
菅井亜由美 すがい・あゆみ
星ヶ丘厚生年金病院看護局看護科長/皮膚・排泄ケア認定看護師

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。

 

[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行

 

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!

 

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