ストーマ装具は手術創にかかってはいけないの?
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ストーマ装具が手術創にかかることの影響について解説します。
ストーマ装具は手術創にかかってはいけないの?
解説
通常の手術創は感染や組織の欠損もない同じ組織同士を縫合しているため癒合されやすいのですが,創傷治癒環境(表1)を整えることでより治癒が促されます.
①適度の湿潤
②感染コントロール
③異物や壊死組織の排除
④温度を28℃以下にしない
⑤pHをアルカリ性に傾けない
⑥酸素など
たとえば,手術創を覆うことで局所の乾燥は防がれ(局所の湿潤),保温されることで治癒に影響する細胞の活動が活発となります.また,皮膚保護剤にはpHを酸性に低下させる緩衝作用があり,細菌の繁殖を抑制します.
以上のことからストーマ装具が手術創にかかっても問題はありません(図1).
しかし,緊急手術により造設したストーマで位置不良や高さがないことにより,排泄物が漏れやすく手術創を汚染させる可能性がある場合は,ストーマ装具がかからないようにしましょう.
[Profile]
石濵 慶子 いしはま・けいこ
星ヶ丘厚生年金病院看護局看護科長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行