ストーマ周囲の皮膚トラブルの記録はどのように表現するの?|消化管ストーマの術後ケア
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ストーマ周囲の皮膚トラブルの記録について解説します。
ストーマ周囲の皮膚トラブルの記録はどのように表現するの?
ストーマやストーマ周囲皮膚のどの部位にトラブルが発生しているのかを記録する際には,次回トラブルの改善・悪化を評価することができるように,共通する言葉で表現します.
〈目次〉
1 .ストーマ周囲の部位名
「ストーマそのもの」「ストーマ粘膜皮膚接合部」「ストーマ近接部」「皮膚保護剤貼付部」「皮膚保護剤貼付外周部」と表現します(図1 ).
① ストーマ粘膜皮膚接合部
腸管粘膜と皮膚を接合している部分を指します.離開や出血がみられることや感染を起こした場合には排膿がみられる場合があります.汚れが残りやすい部分でもあります.
② ストーマ近接部
ストーマのすぐ周りの皮膚を指します.排泄物が接触しやすい部分で,発赤やびらんが発生しやすい部位といえます.
③ 皮膚保護剤貼付部
皮膚保護剤で覆われる皮膚を指します.皮膚保護剤や剝離刺激の影響を受けやすい部位です.
④ 皮膚保護剤貼付外周部
テープやストーマ装具の袋部分が接触する部分です.テープによる接触性皮膚炎や水疱がみられることがあります.また,袋部分の接触により皮膚炎を起こす患者もいます.
2 .記録時の方向の表現
方向を表現する際には,患者の正面からストーマを中心に時計の針の方向に例えて,「0時方向」「1時から4時方向」などと表現します.または,ストーマの頭側,尾側という表現も使います(図2).
例:「ストーマ近接部4時から8時方向にびらんがみられる」などと表現します. 言葉での表現だけでは共有しにくい場合には,イラスト(図3)や写真を使用する場合もあります.
[引用・参考文献]
[Profile]
保刈 伸代 ほかり・のぶよ
東邦大学医療センター大森病院看護部/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行