CVポートの投与前の血液逆流確認、「する?」「しない?」|輸液管理
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『エキスパートナース』2017年3月号<バッチリ回答!頻出疑問Q&A」>より抜粋。
CVポートの管理について解説します。
井上善文
大阪大学国際医工情報センター栄養ディバイス未来医工学共同研究部門特任教授
CVポートの投与前の血液逆流確認、「する?」「しない?」
特に「抗がん剤」の投与時は、閉塞による漏出を防ぐため“投与毎”に血液の逆流確認をするほうがよいでしょう。
〈目次〉
CVポートから抗がん剤を投与する場合に防ぎたい「漏出」
CVポート(totally implantable centralvenous access port、完全皮下埋め込み式ポート付きカテーテル)は、中心静脈カテーテルと皮下に埋め込まれたポートから構成されており、カテーテルの先端は上大静脈内に留置することになります。
CVポートから抗がん剤を投与する場合は、血管外に漏れないようにすることが重要です。漏れたら、重大な合併症を引き起こす恐れがあります。絶対に漏れさせない、という方法で管理しなければなりません。
CVポートのカテーテル先端が上大静脈に存在しても、怒責やくしゃみなどによって、知らないうちにカテーテル先端が上大静脈以外の部位(内頸静脈など)へ移動し、そのために血管外漏出という問題が発生することがあります。定期的にカテーテル先端位置をX線撮影で確認する必要があります。
滴下の様子・ライン逆流の確認、胸部X線検査を行う
ここで管理上、議論となるのが、「カテーテルが血管内に存在していること」「ヒューバー針が確実に内室内に入っていること」を確認するため、CVポートから血液を逆流させるという操作をする必要があるのか、という問題です。
HPN(home parenteral nutrition、在宅静脈栄養法)の場合には必ずしも血液の逆流を確認する必要はないのですが、自然滴下がスムーズであることは確認しなければなりません。抗がん剤を投与する場合のほうが慎重であるべきです。
CVポートを用いて抗がん剤を投与する場合、できたら、毎回血液の逆流を確認するほうがいいと考えています。少なくとも抗がん剤を投与する前に、生理食塩液や電解質輸液などを接続し、自然滴下がスムーズであること、患者さんの状態に変化がないことは確認しておくべきです。また、輸液バッグを心臓より低い位置に下げて、血液が自然に逆流してくるのを確認することは、安全管理の面から推奨されます。
ただし、CVポートのカテーテル先端が血管内に存在していても、カテーテル周囲に形成される線維性の鞘のため、血液が逆流しない場合があるので注意が必要です。こういう場合は、自然滴下がスムーズであることを確認しながら、胸部X線撮影で先端位置が移動していないことを確認しておくべきです。
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P.27『CVポートの投与前の血液逆流確認、「する?」「しない?」』
[出典] 『エキスパートナース』 2017年3月号/ 照林社