面板の溶解や膨潤ってどういう状態?|ストーマ装具
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ストーマ装具の面板の状態について解説します。
面板の溶解や膨潤ってどういう状態?
面板を一定期間貼付していると,汗や排泄物の水分を吸収して皮膚保護剤が溶け崩れたり,白くふやけたりします.溶け崩れることを「溶解(ようかい)」,ふやけることを「膨潤(ぼうじゅん)」といいます.
どちらも皮膚保護剤が皮膚保護機能を発揮し終わった状態を意味します.したがって,皮膚保護剤の「溶解」や「膨潤」の程度が交換時期の目安になります.
解説
皮膚保護剤は親水性ポリマーと疎水性ポリマーで構成されていると前述しましたが,各メーカーによってポリマーの成分や配合の割合は異なり,それらによって交換時期が定められています.
一般的に短期用装具は1~3日,中期用装具は3~5日,長期用装具は5~7日を目安に交換します.しかし,発汗量や皮膚のコンディション,排泄物の性状によって耐久性は変わります.
適切な交換時期の目安になるのが,皮膚保護剤の「溶解」(図1─a)や「膨潤」(図1─b,c)の程度です.
つまり,「溶解」と「膨潤」の程度が面板ストーマ孔から1cmまでという状態が適切な交換時期になります(小腸ストーマの場合は排泄物の皮膚障害性が強いため,もう少し早めに交換する).
この時期を越えると,皮膚保護剤は「ただの粘着剤」になってしまいますので,皮膚障害が起こりやすくなってきます.したがって,面板がよく粘着していても,交換する必要があります.
また皮膚保護剤の溶解・膨潤は排泄物だけでなく,夏季は汗による要因も加わり,皮膚保護剤全体が蟻の巣状に溶解・膨潤することもあります.
メーカーが掲示している皮膚保護剤の耐久性と,実際の皮膚保護剤の「溶解」や「膨潤」を観察して,適切な交換時期を決定します.
[引用・参考文献]
- 1)日本ストーマリハビリテーション学会編.ストーマリハビリテーション学用語集.第2 版.金原出版,2003,154─5.
- 2)前掲書 1),90.
- 3)日本ET/WOC協会編.ストーマケア エキスパートの実践と技術.照林社,2007,23.
- 4)関西ストーマ講習会実行委員会・関西STOMA研究会主催.関西ストーマ講習会テキスト.平成17年8 月制作・平成24年改訂.
- 5)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編.ストーマリハビリテーション 実践と理論.金原出版,2006.
- 6)穴澤貞夫編.実践ストーマ・ケア.へるす出版,2003,(臨牀看護セレクション,10).
- 7)溝上祐子監.入門 尿路ストーマケア.ウロ・ナーシング冬季増刊.メディカ出版,2004.
[Profile]
小林 直美 こばやし・なおみ
パナソニック健康保険組合松下記念病院看護部主任/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行