個人防護具(マスク・手袋・エプロン・ガウン)の正しい着脱方法|スタンダード・プリコーション

『根拠から学ぶ基礎看護技術』より転載。
今回は個人防護具の正しい着用方法について解説します。

 

江口正信
公立福生病院診療部部長

 

〈目次〉

スタンダード・プリコーションの基本

スタンダード・プリコーションにおいて最も基本となるのは、手洗い・手指消毒と、各種の個人防護具(PPE:personal protective equipment)の正しい使用法です。

 

個人防護具は、湿性生体物質に曝露する可能性があるときには必ず着用する必要があります。

 

それぞれの着用について、正しい手技で着用するとともに、手洗い・手指消毒→マスク→エプロン・ガウン→手袋というように、着用することも感染予防に必要です。

 

マスク

患者の血液や体液などの湿性生体物質に由来する病原体から医療従事者を守るという目的と、医療従事者の呼気中の微生物による患者の汚染を防ぐ目的でマスクを装着します。

 

薬液の準備、化学療法剤の準備、中心静脈カテーテル留置の介助、創処置、侵襲的処置、手術などでは、飛沫予防策として使用するサージカルマスクや、結核麻疹水痘など空気感染する疾患の患者の看護あるいは搬送を行う際に、医療従事者が病原体から守るために使用されるN95マスクがあります。

 

マスクの着脱の方法は、図1のとおりです。

 

図1サージカルマスクの着脱方法

サージカルマスクの着脱方法

 

手袋

手袋は、医療従事者の手指の汚染を防ぎ、交差感染を防ぐために使用される個人防護具です。

 

スタンダード・プリコーションおいては血液や体液、分泌物、排泄物や患者の創傷、粘膜などに接触する場合には、必ず手袋を着用し、処置後、手袋を外した際に手指衛生を行います。

 

湿性生体物質や湿性生体部位との接触には未使用の清潔な手袋(非滅菌)を着用し、手術や中心静脈カテーテルの挿入など侵襲的な処置、無菌の組織と接触する場合には、滅菌された手袋を使用します。手袋をしていても破れたり、手袋内で手の表面の細菌が増殖することもあります。

 

手袋は処置ごとに廃棄・交換するとともに、汚染された表面に触れないように手袋を外します。(図2)、外した後は必ず手洗い・手指消毒を行います。

 

図2手袋の外し方

手袋の外し方

 

エプロン・ガウン

スタンダード・プリコーションでは、陰部洗浄や入浴介助、気管・口腔吸引、排泄介助やオムツ交換、尿の処置、創処置や瘻孔・ドレーンのケア、ストーマのケアなど、医療従事者の衣類および露出部位が曝露される危険性がある際には、撥水性のディスポーザブル(プラスチック製)のエプロンやガウンを着用します(図3)。

 

図3エプロンの外し方

エプロンの外し方

 

エプロンを用いる際には、露出しているため上腕の汚染を考慮した適切な手洗いが必要です。また、化学療法剤の準備や汚染したリネンの交換や吐物の処置などでは、ガウンを着用します。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 根拠から学ぶ基礎看護技術』 (編著)江口正信/2015年3月刊行/ サイオ出版

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