同一部位への注射を行わないのはなぜ?|注射
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は同一部位への注射に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
同一部位への注射を行わないのはなぜ?
同一部位に連続して注射を行うのを避けるのは、筋肉の拘縮(こうしゅく)や静脈内の血栓の形成、さらには炎症などを防ぐためです。
筋肉内注射を同一部位に行うと筋肉の拘縮が起きやすくなり、小児では筋拘縮による運動障害などの後遺症が残ることがあります。現在、筋肉内注射に使用される部位は、こうした筋拘縮が起きにくい条件を備えていますが、それでも反復して注射を行うことで筋拘縮が起きる危険性は高くなります。
静脈内注射を同一部位に連続して行うと、血管壁が傷ついて血栓を形成したり、静脈炎を起こしやすくなります。また、静脈炎が起きることで血栓の形成を促進することにもなりますので、同一部位への注射は必ず避けます。
皮下注射を同一部位に行うと、脂肪組織を含む皮下組織内に炎症が起きる可能性が高くなります。
memo筋拘縮
筋肉の線維化が起きることで、収縮性も弾力性もなくなった状態。特に3歳以下の小児は、大腿四頭筋拘縮症、殿筋(でんきん)拘縮症、三角筋拘縮症などが発生しやすいので注意が必要です。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版