ストレッチャーをベッドの足もと側に置くのはなぜ?|ストレッチャーへの移乗
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回はストレッチャーの置き場に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
ストレッチャーをベッドの足もと側に置くのはなぜ?
患者を抱き上げた看護師の動線をできるだけ短くし、合理的な動き方ができるようにするには、ベッドの足もと側にストレッチャーの頭がくるように斜めに置くのが理想的です。
この時、ベッドとストレッチャーのストッパーを確認しますが、ストレッチャーの車輪が対角線上に内側に向くようにしてブレーキをかけると、車輪がすべて違う方向に向いて動きにくくなります。
ストレッチャーを正しい位置に置けば、例えば3人の看護師で患者を持ち上げてストレッチャーに移す場合、下腿(かたい)部を支える看護師、腰部と大腿上部を支える看護師、背部と頚部を支える看護師が、それぞれストレッチャーのほうへ扇形に回転して向きを変えるだけで患者を移乗させることができます。
なお、看護師の身長に差がある場合、一番背の高い看護師が患者の頭側を持つように背の順に並びます。これは、患者の頭部が下がることなく安定した水平位を保つことができるからです。仰臥した時に全体重の1/2近くが集中する腰部から殿部は、一番力の強い人が支えると安定します。
4人で横シーツを用いてストレッチャーに移す場合は、ストレッチャーとベッドを平行に置き、高さを揃えます。一度に移乗させず、まずベッドの端に患者を寄せ、次にストレッチャーに移乗させるのは、患者をできるだけ看護師に近づけるというボディメカニクスの原理に基づいた動きをするためです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版