便意を我慢していると消失するのはなぜ?|排泄援助
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『看護技術のなぜ?ガイドブック』より転載。
今回は便意に関するQ&Aです。
大川美千代
群馬県立県民健康科学大学看護学部准教授
便意を我慢していると消失するのはなぜ?
便意を我慢できるのは、陰部神経によって外肛門括約筋を意識的に調節することができるからです。
肛門は、交感神経の緊張によって直腸壁が弛緩し、それに加えて内肛門括約筋が緊張収縮することで、常に閉鎖されています。外肛門括約筋も常に収縮し、肛門の閉鎖を補強しています。
しかし、直腸に便がたまって便意が起きても、それを意識的に抑制していると、外肛門括約筋が緊張して排便反射が抑制されてしまいます。このため、便意が消失してしまうのです。
こうした意識的な排便抑制が常習化すると、直腸には便が長時間にわたって貯留され、次第に拡張したままの状態で緊張が低下してしまいます。こうして便意を感じる閾値(いきち)が上昇し、生理的刺激だけでは排便反射が起きなくなった状態を、排便困難症といいます。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護技術のなぜ?ガイドブック』 (監修)大川美千代/2016年3月刊行/ サイオ出版